ADVENTURE JAPAN

界 ポロト

アイヌ民族の知恵と文化に触れる場所

自然とともに生きるアイヌ民族の歴史と文化を肌で感じる滞在

Photo, text: Makiko Yamamoto

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北海道白老町のポロト湖畔に佇む星野リゾートの温泉宿「界 ポロト」。
ポロトとはアイヌ語で「大きな湖」を指す。
自然には神(カムイ)が宿るとするアイヌ文化を存分に体験できる、全室レイクビューの界 ポロトで雄大な自然に心癒される滞在を。

冬の季節、ポロト湖には凍った湖面に穴を開けワカサギ釣りに興じる人々を度々目にする。
また、白鷺などの野鳥が飛来し羽を休める光景も風物詩となっている。

アイヌ民族との共生〜趣を凝らした建築〜

施設のどこにいてもポロト湖を身近に感じることができるよう、湖を敷地内に大胆に引き込んだつくりが特徴的な界 ポロト。
設計は建築家 中村 拓志(なかむら ひろし)氏が手掛けた。
アイヌ文化伝承の地として維持されてきたポロトコタン(集落)から着想を得、湖面にはアイヌ文化の建築特徴であり、丸太組みの三脚構造である「ケトゥンニ(伝統的なアイヌ文化の家屋における屋根を支える構造のひとつである三脚構造)」を基本構造とした湯小屋が佇む。
白樺を配したエントランス、アイヌ文様から着想を得たデザインがちりばめられたレセプションなど、館内の至るところで先住民の息吹を感じることができる。

アイヌ民族の集落では火を囲んで人々が集う習慣がある。
ロビーの吹き抜け部分にある暖炉からポロト湖を眺めながら、旅の思い出に話も弾んで。

ロビーでは、ご当地楽「イケマと花香の魔除けづくり」を体験したい。
アイヌ民族が悪いものを遠ざけるとして身に着けてきた植物「イケマ」。
ウッディな香りのイケマと北海道の数種類のハーブを組み合わせたオリジナルの魔除けで、旅の安全を祈願しよう。

ご当地部屋

室内には白樺の丸太を配し、雄大な自然に溶け込んでしまうような感覚に包まれる。
壁紙やクッションなど、室内のいたるところにアイヌ文化から着想を得たデザインが用いられた安らぎの空間を満喫しよう。

何をするでもなく、ただ移ろいゆく時に身を任せ、何を見つめるでもなく窓の外に視線を向ける。
それだけで日々の重圧から開放され、心がニュートラルな場所に落ち着いていくのを感じることができるんだ。

△湯・◯湯

アイヌ民族の建築から着想を得た、象徴的なとんがり湯小屋の「△湯(さんかくのゆ)」とドーム型の「〇湯(まるのゆ)」で、植物由来の有機質を含むモール温泉に癒やされるひととき。
とろみのある弱アルカリ単純温泉は、冷え切った体を素早く温めてくれるほか、古い角質を落とし、肌の新陳代謝を高めることで湯上がり美肌が叶うとあって女性に人気を博している。

△湯の湯上がり処からもポロト湖を臨んで。
三角形の窓が額縁となり、四季折々の自然をまるで絵画のように映し出す様に、しばし時を忘れてまどろんでしまう。

見上げれば、アイヌ文化の建築特徴「ケトゥンニ」を基本構造とした美しい木組みをみることができる。

「○湯」は「△湯」と異なる趣を感じることができるもうひとつの大浴場。
ドーム状の天井から差し込む優しい光と静かな空間……神の存在さえ感じる瞑想空間と言えよう。

特別会席「毛蟹と帆立貝の醍醐鍋会席」

地元の陶芸家による可愛らしい熊のプレゼンテーションで始まる特別会席。
北海道の旬の味覚と、冬の時期ならではの帆立貝と毛蟹を存分に堪能できる味わいづくしのコース料理だ。

アイヌ民族伝統の木舟を模した台座に並ぶ海の幸。
北海道の日本酒を選りすぐった飲み比べセットを頼んで、時間をかけて味わいたい。

北海道が日本一の水揚げ量を誇る毛蟹。濃厚な甘みが特徴で、北海道では一年を通して各地で水揚げされ、祝いの席に欠かせないご馳走として愛されてきた。ブイヤベース仕立ての醍醐鍋を味わったあとは、旨味が凝縮したスープにシメのご飯とチーズを加え、リゾットにして残さずいただこう。

湖畔の朝

起き抜けに体を温めようと△湯へ。
ポロト湖を間近に見渡す露天風呂からはるか遠くに見えるのは、ワカサギ釣りのテントだ。
分厚い氷に穴を開けワカサギを一本釣りするのだが、達人になると100匹以上釣るのだとか。
ぼんやり空を眺め、雲の流れや風のゆらぎを感じる、そんな時間は何よりの贅沢だ。

温泉宿での楽しみの一つといえば朝食。
広い北海道が育む豊かな食材をふんだんに摂り入れた滋味あふれる献立は、温泉でほぐれた身体にぐんぐん吸収されていく。
じゃがいもの擦り流しに白味噌を合わせた鍋が、朝の胃を温め、一日の活力を与えてくれるのを感じた。

真っ白に雪化粧されたポロト湖の美しさ。
そこに光が反射したときの神々しさ。
極寒の中で温泉に浸かる幸福感。
土地のものを味わう満足感。
都会では見出すことが難しい、そんな人間らしい歓びに、魂までも温かい気持ちになれた、そんな滞在だった。
次は花々が咲き乱れる季節にまた訪れよう、そう心に決めた。

界 ポロト
〒059-0902 北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
宿泊予約:0570-073-011 (9:30AM〜6:00PM)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiporoto/

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