ADVENTURE JAPAN

Vol.25 星のや沖縄 ~前編~

現実と切り離された「島時間」に浸る場所

2020年7月に開業した「星のや沖縄」。
元々の自然を活かした敷地形成が特徴の広大なビーチリゾートだ。
ゆったりとした沖縄タイムが流れるこの場所で、束の間のユートピアに酔いしれて。

Photo,text: Makiko Yamamoto

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那覇からレンタカーで車を走らせること1時間半、読谷村の脇道へ入り、自然豊かで静かなエリアへと車を進める。
青々と生い茂るさとうきび畑を抜けたら、コバルトブルーに輝く海が我々を出迎えてくれた。

沖縄本島の中部、西海岸に位置する「星のや沖縄」は、そんな沖縄の誇る大自然に囲まれたパラダイスリゾート。
日々のストレスから逃れ、ここでひとときの「充電時間」を過ごそうか。

自然に囲まれたリゾートステイ

燦々と照りつける太陽から一転、深海を思わせる仄暗いレセプションは、静かでひんやりとした神秘的な雰囲気。
瞑想的なこの空間を通過することで、自分がどんどん現実世界から切り離されていくような気がしてくる。

レセプションで感じた通り、日常から切り離された「現代を休む日」がテーマだという星のや沖縄。
琉球時代の城(グスク)からヒントを得たコンクリートの城壁に囲まれ、さらに外界と一線を画すのに十分な広大な敷地を誇る。
カートで宿泊棟の入り口へ。

「わぁ!」
足を踏み入れた瞬間、思わず歓声を上げてしまった。
城壁の外側からは伺い知れなかった、全くの別世界が待ち受けていたからだ。
聞けば敷地内には100種類以上もの植栽があるそうで、日々丁寧に手入れを施されているとのこと。

強い日光を浴びて、瑞々しい草木花が放つ生命の波動がすぐさま伝わってくる。
様々な植物の芳香が鼻孔をくすぐり、ふと自分の呼吸がいつもより深くなっているのに気がついた。

海景を望む癒しの滞在

ミニ・ジャングルのような木々の向こうに、宿泊棟が見える。
セミの鳴き声に誘われ、鼻歌まじりで部屋の扉に手をかけた。

一面のガラス扉を開けると、そこに広がった海景。
星のや沖縄は全室オーシャンフロントとなっており、青い海と白い砂浜が部屋にそっと彩りを添える。

「長期滞在も考慮した設え」との説明通り、部屋中央の重厚なダイニングテーブル、十分な冷凍室も備えた大きな冷蔵庫が、まるで住居のような雰囲気を漂わせている。

寝室からも美ら海をみることができ、さらにベッドボードにはオリジナルの琉球紅型があしらわれる。
シックなインテリアの中にも随所に沖縄の香りを感じられる癒しの空間の完成だ。

リビングを挟んで寝室の反対側にある、居間。
ここから眺める海は、その窓枠が額縁の役割を果たし、まるで生きた絵画のように美しい。

聞こえるのはかすかな波のさざめきと、鳥や虫たちの声のみ。

ここでは、沖縄が誇る大自然を余すことなく味わえる滞在が保証されているのだ。

夕暮れのひととき

陽が傾き、夜の帳が少しずつ空を支配していく。
さっきまで青く澄んでいた水面も、そんな地球の変化に合わせて暖色のお化粧を始めた。
部屋から見える景色もいいが、敷地内の海岸へ降りてみよう。

橙と黄金のグラデーションが我々を魅了する。
感嘆の言葉も出ないほどに、この景色に飲み込まれていく。
「はぁ……」
ため息だけが漏れる。

こんなに心を打つ光景を一体最後いつ見たことだろう。

日々の焦燥や悩みのあれこれは一瞬のうちに頭から消え去り、満たされた気持ちだけが自分を包み込んでいた。

「星のや沖縄」

沖縄へは何度も来ているはずなのに、初めて来たかのような不思議な気持ちにさせてくれる場所。
この土地がもつ本来の美しさを、できるだけそのままに、かつ洗練を加えて新たな「沖縄」を体験することができる。

「明日はどんな体験が我々を待っているんだろう」

子どもの頃のようにワクワクした気持ちで夢の世界へと落ちていった。

<後編へ続く>

星のや沖縄
〒904-0327 沖縄県中頭郡読谷村儀間474
宿泊予約:0570-073-066 (9:30〜18:00)
https://hoshinoya.com/okinawa/

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