ADVENTURE JAPAN

Vol.13 界 津軽

上質な温泉に心癒される旅

Photo,text: Makiko Yamamoto

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多くの秘湯・名湯があると温泉好きの人々を魅了している青森。
その中でもここ「大鰐(おおわに)温泉郷」は最も古い歴史をもつ温泉の一つだ。
遡ること800年、平安末期〜鎌倉時代にこの温泉郷が開かれたとの説もあり、江戸時代後期1817年(文化14年)に書かれた「諸国温泉功能鑑」という温泉の効能を”相撲の番付”にみたてた「温泉番付」において、津軽大鰐温泉は紀伊熊野本宮の湯・伊豆熱海の湯とならぶ3つの「行司」の一つとして位置づけられているほどなのだ。

界 津軽 大浴場。地元のりんごを浮かべたりんご風呂は甘すっぱいりんごの香りがほのかに香る癒しの温泉空間だ。

そんな津軽の奥座敷にある「界 津軽」。
至極の泉質はもちろん、地元のりんごや伝統工芸「こぎん刺し」夏の風物詩「ねぷた」などを取り入れた津軽を思う存分味わえる温泉宿として四季折々の趣を讃える。

こぎん刺しの有名なモチーフの一つである菱模様をあしらったクラシカルかつモダンな客室。

界 津軽が提供する、津軽の伝統文化を堪能するご当地楽として、津軽三味線全国チャンピオンの渋谷幸平氏と界 津軽のスタッフによる津軽三味線のコンサートが毎晩行われる。
他の弦楽器と異なる「叩き」と言われる奏法が特徴の津軽三味線。
速弾きになればなるほどに際立つそのテクニカル動きと情熱的な音色に、会場はまるで時が止まったかのように心地よい緊張感に包まれる。

日本画の巨匠・加山又造による津軽の風景を描いた壁画による津軽の風景を描いた壁画『春秋波濤 (しゅんじゅうはとう)』の前にて毎晩演奏される。

毎晩21時頃に開催されるので、夕食後に生姜湯やコーヒーを飲みながら津軽三味線に心酔するのがいいだろう。

もう一つのご当地楽として、部屋のモチーフともなっている青森を代表する伝統工芸のひとつ「津軽こぎん刺し」体験をお勧めしたい。
誰でも簡単にできるようにアレンジしたオリジナルの紙製「しおり作り」では、好きな糸を選んで自分だけのしおりが完成する。
針に糸を通し、無心に紙を刺していく作業は、日々仕事に追われる我々にこそ必要な時間なのだと気がつくことができた。

津軽りんごと大間のまぐろ

実りの秋、りんごの収穫シーズンには期間限定で開催される「りんごのお茶会」を楽しもう。
季節の移ろいを水際で感じる「四季の水庭」を眺めながらりんごのお茶菓子をいただきながらりんご紅茶で温もりをプラス。
界 津軽では、このように四季を感じるアクティビティ「季節の滞在」を提案しているので、一年中異なる趣を感じることができるだろう。

海の幸が旬を迎える秋〜冬。

豊かな漁場に囲まれ、贅沢な海産物がそろう青森県の津軽海峡で獲れた大間のまぐろは「黒いダイヤ」と呼ばれ、言わずもがな、名実ともにまぐろの最高峰である。そんな大間のまぐろを存分に味わえる贅沢な会席「大間のまぐろづくし会席」では、素材の味をそのままに感じられるお造り、赤身・中トロを用いたとろける旨さの握り寿司、〆には漬けまぐろを炊きたて土鍋ごはんとともにオリジナル丼を楽しめるまぐろ丼など、様々な方法で戴くことができる。

自分好みに仕立てられる「オリジナルまぐろ漬け丼」。お腹一杯になっていても一粒残さず完食してしまう魅惑の〆といえよう。

界シリーズが提供するご当地の食材とビールを合わせた季節限定の「湯上がりビール」。

ここ、界 津軽では大鰐温泉の蒸気を使って栽培された「大鰐温泉もやし」のおひたしを提供する。

シャキシャキとした歯ごたえが特徴の大鰐温泉もやしをクラフトビールでグビッといく湯上がりのひとときは大人にしかわからない幸せの瞬間だ。

津軽の奥座敷、自然に囲まれた静かな雰囲気をもつ大鰐温泉郷。
体内の流れが整うような不思議な体験をもたらしてくれた素晴らしい泉質もさることながら、広々とした界 津軽の空気感と食に心身ともに癒される滞在が叶う場所だ。
道中で出会った農家や地元の方々の優しさもまた、この旅をより印象に残るものにしてくれた。
青森の方々の優しくすこしシャイな笑顔に会いにまた帰ってこようと心に誓うのだった。

星野リゾート 界 津軽(青森県・大鰐温泉)
〒 038-0211青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
宿泊予約:0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/tsugaru/

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