Vol.21 星のや富士

取材当日、しんしんと積もる雪とともに我々は到着した。
河口湖畔にレセプションがあり、そこに自分たちの車を停めて、星のや富士専用のSUV車に乗り換える。
雪で滑りそうな急斜面をもろともせずぐんぐん進む車に頼もしさを覚えるとともに、いよいよアウトドアの始まりかと期待が胸を高ぶらせた。

スコープ状のユニークな形をしたキャビンは全室河口湖に面しており、どの部屋からも富士を望めるつくりになっている。
客室面積の3分の1はテラスという開放感に満ちた空間。
時の流れによって姿を変える富士を屋外で楽しもう。
朝焼け、夕日はもちろん、夜にはテラスのファイヤープレイスに火がつくので、焚き火気分で満天の星空を眺めながらワインでほっと一息なんていう乙な過ごし方もあるだろう。

室内はいたってシンプル。
質のよいベッドとテラスに面したソファー、それにキャビネット。
テラスに沿うように設えられたバスタブの窓からも富士山を見ることができる。
自然が主役の客室設計になっているのだ。

アウトドア好きでもなかなかハードルが高い燻製作り。
一度はやってみたいと思っている人も多いのではないだろうか。
ここでは、好みの香りのチップを選び簡単に燻製作りに挑戦することができる。

森の中にあるアウトドアダイニングでは、人数限定でダッチオーブンディナー「狩猟肉ディナー」を提供している。
グランピングマスターと旬の狩猟肉や野菜を選んで創りあげるダッチオーブン料理を、コース仕立てで楽しむことができる。
取材した2月初旬は「鹿肉」を燻製ハムやグラタン、炊き込みご飯など様々な味わいでいただいた。

氷点下近い屋外で、コタツ式のテーブルでぬくぬくといただくダッチオーブン料理ほど贅沢なことはない。
もくもくと上がる蒸気を肴にペアリングのワインを一口。

昨日の雪とは打って変わって快晴の爽やかな朝。
黄金色の朝焼けに感動したあとは、朝食前に一汗流そうか。
7:00から「湖上の早朝カヌー」に参加した。
鏡面状態の河口湖にカヌーでそろりと漕ぎ出す。
波がないから進行もスムーズだ。
湖面から眺める雪景色はまた一味違う。
まだ夢の中にいるような不思議な気分になってくるんだ。