ADVENTURE JAPAN

Vol.23 界 阿蘇

阿蘇、雄大な自然の恩恵に浸る場所

大噴火を繰り返し、現在の阿蘇は誕生した。
世界有数のカルデラと言われる阿蘇カルデラは、そのユニークな形状をしたミネラル豊富な土壌から農作物や温泉などを我々にもたらしてくれる。
界 阿蘇はそんな阿蘇の恵みを味わいつくせる温泉旅館だ。

Photo, text: Makiko Yamamoto

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青々とした阿蘇高原を爽快にドライブ。
牧草地では馬や牛が草を食んだり昼寝をしたり……絵に描いたような牧歌的な風景が広がる。
27年前に始まった噴火活動によって造形された南北25km、東西18kmの巨大なカルデラは、現在多くの恩恵を我々にもたらしてくれている。
カルデラを見下ろす高台に佇む界 阿蘇。
阿蘇くじゅう国立公園の中に位置し、静かな森に囲まれた大人の空間だ。

界 阿蘇から望む、幻想的な朝の雲海

カルデラの間

客室は離れになっており全12棟。
全室が阿蘇のカルデラなどの特徴を取り入れたご当地部屋「カルデラの間」となっている。
広大な森に点々と建つ離れはそれぞれが美しい木々に囲まれており、ひとたび足を踏み入れれば、自然に溶け込んだような……周りの喧騒とは一切隔離された、まるで自分の別荘かのような心地になるから不思議だ。

森にせり出す露天風呂。浸かると緑あふれる空中に浮かんでいるような気分になる。

特徴は「木と石のあたたかさ」をテーマに考えられた阿蘇の自然素材を活かしたインテリア。
浴室に阿蘇の溶岩を使用したり、溶岩や草木などを釉薬に採用した「溶岩茶器」など、至るところに阿蘇の恩恵がちりばめられる。
また高さ4mの天井と大きな窓が開放感を演出、四季折々の森の自然と相まって極上のくつろぎ空間が我々を迎えてくれた。

部屋でのリラックスタイムに彩りを添える「おこもりセット」。
こちらは大分県くじゅう連山から湧き出した天然炭酸水「YOIYANA」を使用した炭酸洗顔セット。
微発泡で硬度の高い炭酸水は、湧き出してから一切加工せず瓶詰めされており、美肌成分を多く含んでいることで、洗顔水だけではなく、化粧水としても使用できる美肌水だ。
刺激の少ない優しい泡が肌にほどよい刺激を与え、温泉でほぐれた皮膚がキュッと引き締められたのを実感することができた。

至福の湯上がりビール

全国の界ブランドでは、湯上がりにお勧めの「至福の湯上がりビール」を、ご当地のおつまみと共に提供している。
阿蘇ではカラフルで甘いトマトとともに。
瑞々しいトマトとホップの香り高いビールが爽やかなハーモニーを奏で、湯上がりの火照った体に心地よく染み渡るのが感じられた。

カルデラBAR

熊本の芋焼酎をつかった焼酎モヒート。熊本といえば馬肉、馬ジャーキーとともに

界ブランドの名物、ご当地楽。
界 阿蘇では阿蘇カルデラの成り立ちなどを知ることができる「カルデラBAR」が開催される。
オリジナルカクテルを片手に、カルデラの成り立ちVTRを観たり、実際にカルデラのできる過程をみられる実験タイムなど充実したアペリティフの時間となった。

春夏特別会席「トマトすき焼き」

夕食はエントランス右のダイニングにて。広い窓の外には国立公園の豊かな森が広がって

目にも愉しい和の芸術、会席料理。
先付け、八寸から始まり、メインはトマトの生産量全国一を誇る熊本のトマトと牛肉をふんだんに使用した「トマトすき焼き」。
トマトの爽やかな酸味と和牛の上質な旨味を溶き卵が見事に融合し、この上ない口福を味わわせてくれる。

阿蘇の美しい自然をそのまま食卓に取り入れたかのような芸術的な八寸。眺めているだけでも幸せな気分に

トマトと相性抜群のバジルがすき焼きにほのかなイタリアの風を吹かせて

すき焼きのあとは阿蘇の水で炊いた土鍋ご飯で〆を。
一粒ひとつぶふっくらと立ち上がった瑞々しい白米は噛みしめるほどに味わいが口中に広がる。
幸せな気分で、食後のひとっ風呂にでも向かおうか。

美観を誇る阿蘇の森に溶け込むような設計、シックなインテリアと阿蘇を感じる会席。
ここ、界 阿蘇はそんな上質で洗練されたエクスペリエンスを提供していた。

27万年前からの4度の噴火によってできた阿蘇カルデラ。
特別な土地が育んだ「自然の贈り物」を全身で感じられる貴重な滞在となった。
「今度は秋の紅葉を観てみたい」「冬の雪景色はどんなだろう」……そう想像を膨らませたくなるような、また季節を変えて訪れたい南九州随一の温泉宿といえよう。

星野リゾート 界 阿蘇
〒879-4912
大分県玖珠郡(くすぐん)九重町(ここのえまち)湯坪(ゆつぼ)瀬の本628-6
界予約センター(10:00~18:00):0570-073-011
https://kai-ryokan.jp/aso/

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