石垣島から最も近い島、竹富島は石垣港からフェリーで10分ほど、昔ながらの集落と文化が今に息づく、まさに古き良き沖縄の原風景が残された稀有な島だ。
かつてより竹富島には東集落(アイノタ)、西集落(インノタ)、仲筋集落(ナージ)の3つの集落が存在するが、星のや竹富島はそれら集落の伝統建築を踏襲して作られた48の棟からなる集落であり、まさに竹富島第4の集落ともいえよう。
珊瑚礁で作られた白い石垣は風雨にさらされ、経年とともに黒みを帯びてきた。
各棟に植えられた木々はすくすくと成長し、緑生い茂る美しい集落を形成するまでになった。
こうして時を経るごとに、星のや竹富島が島に馴染んでいくのである。
そのせいなのか、この集落にいると、まるで我が家にいるような安心感を覚える。
静寂で清らかな空気が集落一帯を覆っている。
「気がいい土地」というのはまさにこういう場所なのだろう。
ひろい敷地を散策しながらゆったりと流れる島時間を堪能していると、小さな農園がひょっこりと現れた。
話を聞くと、島に残る貴重な原種やハーブなどを育てているのだという。
この試みは島の方々との交流から始まったそうだ。
星野リゾート全体を通して感じられる、土地への愛情、敬意を垣間見た気がした。
収穫された作物たちは、時期によっては宿泊者のテーブルにのぼることもあるのだそう。今回はハーブを数種収穫させていただき、今夜のディナーの最後に味わうことにした。
夕食は、竹富島の野菜や海産物をふんだんに活かしながらフレンチへと昇華した「琉球ヌーヴェル」を。
本州にはない珍しい食材やハーブをフレンチのフィルターを通して提供している。
味わいはもちろん、色彩豊かな皿たちが運ばれてくるたびに驚きと感動を隠せない。
そしてダイジェスティングにいただいた収穫したてのハーブで入れたハーブティは非常に印象深く舌に刻まれた。
翌朝は早めに起きて散歩がてら見晴台へ。
広大な敷地はちょうどよい散歩コース。
朝食前の運動にぴったりだ。
和朝食では、伝統的な重箱料理(ウサンミ)を小さくまとめた「琉球朝食」がいただける。
体が喜ぶ沖縄の味覚を少しずついただける幸せ。
朝のエナジーチャージにはぴったりだ。
さぁ準備を整え、水牛車で島内をゆっくりと観光しよう。
話に長けたガイドのおかげで、島の歴史を知り島唄を存分に堪能することができる。
島内観光には自転車を借りるのが得策。
おすすめは砂浜でもスイスイ走れるタイヤの太い自転車「ファットバイク」。
ブルーサファイアのように美しい竹富の海はビーチホッピングに最適だ。
星のや竹富島では他にも季節に応じて様々なアクティビティを用意している。
たとえば、島に伝わる三線を客室で体験することができる「三線を奏でる」。地元の方との交流はこの上なく楽しい経験になるだろう。
暮らすように旅ができたら……常々そう思っていたがここ星のや竹富島でついにそれが叶えられた。
またいつか帰ってくるその日まで、この旅をしっかりと心に刻もうと誓った。
星のや竹富島
〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富
電話予約:0570-073-066(10:00~19:00)
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