TRAVEL

Vol.4
星野リゾート 界 鬼怒川

Powered by Hoshino Resorts
Text, photo: Makiko Yamamoto

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「東京の奥座敷」と呼ばれる鬼怒川。
江戸時代に地元の村民が発見したことに端を発するが、当時は大名のみしか入ることを許されず、明治以降一般に公開されたことをきっかけに関東地方で最も有名な温泉地となった。

ここ、界 鬼怒川はそんな温泉街の喧騒から少し小高い場所にあり、落ち着いた雰囲気が特徴だ。

栃木の民藝、黒羽藍染の暖簾が華を添えるエントランスを抜け、スロープカー乗り場へ。
宿までおよそ1分ほど、両側から迫り来る新緑に目を奪われながら、するすると登って行くスロープカーに身を任せる。

到着すると、洗練された空間が我々を待っていた。

宇都宮で切り出された大谷石を贅沢に用いたエントランスホールでは、水琴窟が繊細な音色を響かせる。

中庭では昨夜の雨に濡れた木々たちが雫をきらつかせ、宝石のような輝きを放つ。

界 鬼怒川では至るところで栃木民藝に触れることができる。
湯へと向かう回廊で、また、ロビーのギャラリーで。

洗練されたしつらえでさりげなく飾られたそれらは、そっと我々に栃木の魅力を伝えてくれているようだ。

伝統工芸がちりばめられた「とちぎ民藝の間」

界 鬼怒川の客室はすべてが「とちぎ民藝の間」となっており、露天風呂付きの部屋やペット可の部屋などいくつかバリエーションがあるが、共通しているのは、とちぎ民藝がインテリアとして活きているということ。

高級感のある和室に深みのある黒羽藍染や益子焼きが部屋の良いアクセントになっている

和室からゆったりと中庭の木々を眺めながら、またテラスの露天風呂からお酒でも飲みながら……土地の息づかいを感じるとともに大人の滞在を楽しむことができる。

自然感じる大浴場

火傷に効果的とされる鬼怒川のアルカリ単純泉、やさしい肌触りで長湯向きの泉質と言われる。
露天風呂の前に広がるのは小さな丘陵を有する庭と、借景である背後の山々。
四季折々に表情を変える自然を眺められるという“特権”は、この温泉にまた来てみたいと思わせる一つの要素といえよう。

龍神伝説にちなんだ会席料理

広大な山々と美しい川を讃える栃木県の地のものをふんだんに使用した和会席は目にも舌にも喜びと感動をもたらす。

さらに、鬼怒川の龍王峡に伝わる龍神伝説にちなんだ会席料理は、ぜひ体験したい逸品だ。荒ぶる龍神のダイナミックさを約800度に熱した焼き石を使って蒸し上げる料理によって表現しており、蓋を開けた瞬間に立ち上る蒸気がまさに天に昇る龍神を思わせる。

また、朝食にも郷土の色が濃く反映される。
無病息災を祈る栃木の郷土食「しもつかれ」をメインに据えた和食膳は、益子焼や鹿沼組子を使用した美しいお膳に仕上がった。

青々とした中庭を眺めながらの朝食。心の贅沢とはまさにこのこと

一つひとつが丁寧に配置されているその様をみると、人生を丁寧に生きたい、そう思わされる。

鬼怒川温泉の中でも温泉街の喧騒から一線を画した静かな温泉宿・界 鬼怒川での寛ぎの滞在。
心の声に耳を澄ませ、自分を労ることの大切さに気がつくことができるそんな貴重な経験だった。

星野リゾート 界 鬼怒川
〒321-2526 栃木県日光市鬼怒川温泉滝308
0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/kinugawa/

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