TRAVEL

Vol.3
星野リゾート 界 川治

Powered by Hoshino Resorts
Text, photo: Makiko Yamamoto

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多忙な日常を離れ、ほっと一息したくなるとき、「田舎に帰りたい」そんな想いが我々の脳裏によぎる。

人によって田舎の定義はそれぞれだが、幼少期に夢中になった日本の昔ばなしに出てくるような“理想の田舎”を求めるなら界 川治がまさにそれだ。

都心から車でおよそ3時間。
川治温泉郷、男鹿川を臨む高台に建つ界 川治は「里山」をテーマに四季折々の滞在を提供している。

初めて訪れた場所なのに、どこか懐かしさを感じる佇まいに心がほっと穏やかになるのを感じる。

入り口を抜けたところに建つ水車小屋。どこか郷愁を誘う

和心地を味わう「ご当地部屋」

「界」ブランドでは、宿泊を通して土地の文化を存分に感じられるように「ご当地部屋」を用意している。
ここ界 川治のご当地部屋は、麻紙のあたたかみに包まれながら安らぎの滞在を味わえる「野州麻紙の間」という特別室。

希少な国産麻である野州麻を部屋の随所に配しており、天然素材ならではの暖かみと、麻紙に“今”の要素を加えたモダンなデザインが我々の滞在を一つ豊にしてくれる。

夏の滞在

広い窓から見渡せる青々とした木々、男鹿川のせせらぎを背景に、まずは一杯。
夏の季節限定で、「至福の湯上がりビール ¥1,000(税別)」(先着順、なくなり次第終了)を楽しむことができるのだ。

ホップの香りが爽やかな界オリジナルビールを片手に、栃木名物・かんぴょうを具材に取り入れた餃子を味噌だれでいただく。
そして「ごろんとソファ」に足を投げ出して、眼前に広がる万緑を愛でる。
「極楽極楽!!!」
まだ温泉に入ってもないのに、この脱力感たるや!
自然が織りなす癒しの音楽と、この広々とした空間が成せる技だ。
小腹も満ちたところで、温泉へ。

川治温泉は「傷は川治、火傷は滝」と表されるように、特に傷の早期回復に効くと言われている。
幕末の志士、新撰組副隊長の土方歳三が宇都宮の戦いで受けた弾傷を治すために厳選である薬師の由に浸かり、会津に向かったという逸話も言い伝えられているのだとか。

地元の工芸品、ひょうたんランプが灯る露天風呂

熱すぎない湯加減で長湯向きの露天風呂が、旅の疲れをじんわりと癒してくれる。
ここでも聴こえる川のせせらぎ。
ストレスがたちまち溶けてゆく。

湯を楽しんだあとは、もう一つ最大のお楽しみが待っている。
そう、夕食だ。

栃木の里山を感じる会席料理

里山ならではの山の幸を活かした日本会席。
まるで夏山の賑わいを食卓に再現したようだ。

特別会席は、和牛と猪の味噌土手鍋がメインを彩る。
栃木県のジビエ、里山を代表する肉と言えば猪。上質な脂ののった薄切りの猪と、とろけるような和牛を味噌で煮込み、旨味をさらに凝縮させる。
時間の経過とともに味噌が香ばしく変化していくのも楽しい。

里山の朝

温泉に浸かった夜はなぜだか深く眠れる。
早朝に目覚め、山の爽やかな空気と朝風呂をいただいたあとは「ご当地朝食」で1日の活力を養おう。

地域に伝わる説話にちなんだ朝鍋「鬼子蔵汁(きしぞうじる)」には、餅や人参、ごぼうなどが入っており、栄養満点。
普段は軽く済ませがちな朝食にこんなにゆっくりと時間をかけられるのも、温泉宿の醍醐味といえよう。

里山の知恵を体験する

手挽きの石臼体験、烏山和紙の手漉き体験ともに無料、当日予約制

界 川治では、ご当地の文化を体験できる数々のアクティビティ「ご当地楽」を用意している。
手挽きの石臼体験できな粉を作ったり、烏山和紙の手漉き体験で葉書を作ったり……童心に返って手仕事を楽しもう。

日本で古くから営まれてきた里山の生活。
都会で生まれ育った人にとっては、まったく接することのない文化がこんなにも近くにあったなんて。
飾らない、自然とともに生きる、身近にあるものを活かす。
生活の根本とも言えるこの考え方を改めて教えてくれた、そんな滞在だった。

星野リゾート 界 川治
〒321-2611 栃木県日光市川治温泉川治22
0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/kawaji/

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