Photo / text: Masaki Yabe
『ラストベガス』
学生時代、英語が苦手だった。
「英語なんて喋ることができなくても生きていける。海外なんて行かなくてもいい。」なんて周りに話していた。
そんな僕の考えを180度変えてくれた作品「ラストベガス」を紹介したい。
僕は幼稚園の年少から英語を習っていた。しかし、中学生になったらホームステイをしなくてはならなかった。
当時の僕はとてもお母さんっ子だったためホームステイなんてありえない。親に何度も英語を辞めたいと相談していた。
その頃から子役としての仕事が入ってきて忙しくなった。
そのことを理由に英語を辞めた。
それからというもの、学校の授業の英語が全く分からなくなり苦手意識を持つようになった。
そんな時に出会った映画が「ラストベガス」だ。
幼馴染の4人組がラスベガスでバチェラーパーティーを行うという物語。
レジェンドハリウッド俳優の共演ということで何となく鑑賞したのだが、観ている最中に僕の体に衝撃が走ったことを今でも覚えている。
先述した通り、その時の僕は「英語なんて喋ることができなくても生きていける。海外なんて行かなくてもいい。」と思っていた。
それに加えて、みんなでワイワイ騒ぐよりも1人でいる方が好きだし、自分に自信が無い内向的な性格でもあった。
そんな僕が「ラスベガスに行きたい!」と心から思ったのだ。
バチェラーパーティーを楽しむ幼馴染4人の姿も良いが、キラキラと輝くラスベガスという街が眩しく見えた。
そして何より街行く人々が楽しそうで、自由で、自信に満ち溢れているように見えた。
自分の世界とはかけ離れた非日常的世界にとても魅了されたのだ。
その後まだラスベガスに行ったことはないが、ニューヨークとロサンゼルスには仕事で行かせていただいた。
街中や駅構内で歌を歌ったり演奏している人々を度々見かけた。
まさに自由の国アメリカ。
楽しくてワクワクした。
そして気づいたら積極的に英語を話していた。
自分の拙い英語が伝わっているのかはわからないが、とにかく自分に対して自信に満ち溢れていたのだ。
その時初めて英語を辞めたこと、ホームステイに行かなかったことを後悔した。
今では英語を学びたいと心から思うようになったし、映画も洋画を多く観るようになった。
そして日常的に自分に自信が持てるようになった。
そのきっかけとなった街「ラスベガス」にはいつか必ず行きたい。
しかし
楽しむのは良いことだが、ハメを外しすぎて破産したり取り返しのつかないようなことをしたりと、まさに“人生ラストベガス”にはならないように注意したい。
矢部 昌暉
Profile:矢部 昌暉(やべ・まさき)
1998年1月9日生まれ
東京都出身/B型
2013年DISH//のメンバーとしてメジャーデビュー。
主な出演作品には、舞台『池袋ウエストゲートパークSONG&DANCE』、『悪魔と天使』、『暁のヨナ』、『イケメン源氏伝 あやかし恋えにし~義経ノ章~』などがある。