INTERVIEW

——人生にハプニングはつきもの。それをむしろ楽しんで乗り越えていくことが醍醐味だと思う——
INORANの終わりなき旅とは

Interview/ text: Makiko Yamamoto
Photo: Taro Washio
Video: Yuki Tanzawa
Location: A street in Tokyo

ADVENTURE KING unlimited

INORAN

Q今回アドキンには3回目のご登場ということでいつも素敵なお話を聞かせていただきありがとうございます。8月7日にリリースされるアルバム「2019」ですが、タイトルがとても象徴的ですよね。色々な節目の意味を感じます。

ALUNA SEAが今年30周年で、現在LUNA SEAでもアルバムを作っているところで、そういう節目というのもあります。
でも、今年元号が変わった瞬間…時代が変わることをみんなで喜んだ瞬間に感じた明るいムードや、ラグビーワールドカップの開催など、大きな出来事がたくさんある年としての節目という意味のほうが大きいですね。さらに来年にはオリンピックも控えていて、2019年は日本中に“いいポジティブ感”が漂っている。そういった意味でも、2019年はLUNA SEAとしての僕たちの節目でもあるし、日本人としても、人間としても、ミュージシャンとしても記憶に残る年だろうなって。そんな思いから、アルバム制作時に「2019」がいいんじゃないかと思ってタイトルにしました。

Q「2019」聴かせていただきましたが、ロックやバラード、様々なテイストが入っていてファンとしては非常に嬉しい内容でしたが、ご自身で定められたテーマはありますか。

Aテーマは純粋にツアーを沢山やりたいために作ったアルバムです。やっぱりライブという場所は自分にとってすごく大事な場所だし、とても貴重な場所。だから毎回楽しみだし、大切にしたいと思っています。
あと、現在LUNA SEAのアルバムと同時に制作していたのですが、LUNA SEAとソロの時間的な分け方はあるものの、クリエイティブな側面では分け隔てなく作っていて。作りながら、自分でも「どんなのが出来るんだろう」というように制作しながら見えてきた感じでしたね。今回はソロアルバムのコンセプトはこれですと決めうちしたわけではなく、二つのことを同時にやっている“カオス”な状況の中で発生してきたもの…自然に落としたものが今回の曲たちなんですよね。

Q溢れ出てきたものが形になったという感じですね。

Aそうですね。毎回書きためることをしていなくて、ツアーが決まって、レコーディングこの辺でやらなきゃねってタイミングでギリギリに作る。思いがたまったものを落とすという感じです。

Q自然な“表現”ということなんですね。
INORANさんはLUNA SEAとしてデビューされてから30年以上もの間、“表現”を続けいらっしゃいますよね。昔と今とで“表現”に対するアプローチに変化はありますか。

Aその時代や場面によりますね。例えば昔は撮影にしても「自分はこういう風に映りたい、見られたい、こういう風に見て欲しい」という気持ちが強いときもありましたし、逆に「自分はまだ何も持ってないな」とか、「足らないものがいっぱいあるな」と思ったときには、スペシャルな人に委ねるということもしました。
そして今は、毎日が自分の描く世界だけじゃなくて、世の中の知らないことや気付いていないものもあると思っているので、「こう映りたい、こう見せたい」というのはそんなにないですね。
逆に撮影で言えば「これ自分じゃないよ」と思う瞬間もあるけれど、それも自分だと思いますし、思えるようになりました。ただ、そうやって委ねる場合には、自分の準備はちゃんとしておこうと。

Q今回アドキンのウェブメディアとしての再スタートにて「ADVENTURE KING-unlimited-」ということで終わりなき旅、限界のない旅をテーマにお話をお伺いできればと。イノランさんにとって“終わりなき旅”とはどういったものだと思われますか。

A終わりなき旅はないと思うんですよ。いつか必ず終わりが来る。
でも、その中でもできるだけたくさんの旅を続けることが「終わりなき旅」というか、人生の旅だと思うんですよね。
アクシデントや躓きというのは、予期せず突然くるもので、事前準備はできない。だからこそ、人生の旅や仕事って“チャレンジ”の連続なんだと思います。その不安ってある種の探究心から来ているとも言えると思う。
失敗したらとか、悪く転んだらどうしようとか…そういうものは必ずあるという意識をしつつも、やっぱり好きなものや目指すものに対してワクワクを忘れないということ。何かが起こった時にシビアに対処すればよくて、普段からシビア感はいらない。むしろ楽しむマインドで毎日を過ごしたり、冒険をしていると、絶対良いことが起こって、それの積み重ねで軌道に乗ったとき…それこそが“終わりなき旅の始まり”なんじゃないかなと思います。

Qその通りだと思います。楽しむ気持ちを大切にしたい。

Aまさに今は気持ち一つで変わる世界が来たと思う。絶望感と諦めそうな気持ちは消えることはないし、隣にいつもあるかもしれないけど、そんな事よりも、何かを実現したり、達成したときの喜びを想像してみれば乗り越えられないものはないし、まだ見ぬ旅の醍醐味を味わうことができると思うんです。
理想論に聞こえるかもしれないけど、本当にそうなんですよ。だからみんなにも終わりなき旅をして欲しいですよね。

Q分かります。“気持ち”で周りの人にも伝わるものがあるというか、腐らなければきっといい流れに乗れるんじゃないかなと。

A例えば1日単位で考えてみると、寝る瞬間に「今日は良い1日だったな」って思える1日を過ごしたいじゃないですか。その中には喧嘩したりとか、嫌なことがあったりして当然。でも1日の中でそれを巻き返せると思うんです。
喧嘩したら謝ったり、トラブルが起きても柔らかくしたりとか、そういうものは次の日に持ち越さない。1日単位で今日は良い日だったなって過ごしたいと思えば、必ず行動もそうなってくるし。
僕はライブも最近そうやって想像するんですよ。例えば「ノリが悪かったらどうしよう」とか、ライブの前に想像するときもあって。
でも、当日のライブのセットリストが終わって、楽屋に戻ってきてバンドのみんなとお疲れ様でしたという握手をして、笑顔で乾杯する。そこを目指せば無駄な心労はいらないし、変な力も入らないし。エンドに自分がどうなっていたいかが大事なんじゃないかと。

Qそうですね。終わりに皆が笑顔であってくれれば、その過程で何が起ころうとも結果オーライですよね。

A自分一人で生きている訳じゃなくて、周りの人が支えてくれる。それを意識してみる。やっぱり怒っている顔の人より笑顔の方がいいじゃないですか。
自分がいるオーラを消せとは言わないけど、ムードを大切にしていくとそれが積み重なってきた中に、自分に返ってくる何かがあると思うんです。
人の“気”は良いに超したことはないですね。
僕もそうでありたいし。他の人もそうであってほしいし、そうするとお互いにいい影響をしあえるんじゃないかな。

Q現在も未来も自分だけでなく他者とのかかわり合いから出来るものですもんね。自分の存在意義というか。

A僕自身、自分の存在意義なんて大層なことは思っていないですが、ミュージシャンとしては自分のやっていることで周りの人を笑顔に、幸せにできたらなと思っています。
それはギャグ言って笑わせたりでもいいし、もちろん作った音楽でもいいし、それがミュージシャンとしての存在意義なんじゃないかな。すごくシンプルなことですけれど。そんなことは常に意識しています。

Q最後にイノランさんが今後冒険してみたいことを教えてください。

A景色でも国でも、出来る限り沢山のものを見たいですね。いくら時代は4K、8Kの高画質になっていても、やっぱり自分で手の感触とか、自分の目で見たものとかは、現地に行ってみないと分からない。そこでしか感じられない匂いもあったりすると思うし、五感を使って色んな旅をしたいですね。
あとはハプニングがあるからこそ、人生は楽しいと思うので、ハプニングに惑わされず、むしろ楽しめるようにしながら、沢山の人と「終わりなき旅」をしていきたいと思っています。

表現者として20年以上、常に第一線で脚光を浴びつづけているINORAN。
「ミュージシャンとして周囲の人を笑顔にしたい」と話している通り、彼はいつもインタビューに対して実にニュートラルに、丁寧に答えてくれる。
その姿勢は、彼の“寛容さ”と“人への愛”を体現してきた人なのだなと、私に気がつかせてくれた。

ADVENTURE KING INORAN

NEW ALBUM「2019」 2019.8.7 Release

平成から令和へと時代が移り変わった2019年。LUNA SEAとしての活動が30周年を迎え、ソロとしても20年以上のキャリアを持ちながら、 それでもなお進化し続けるINORANが贈る、新時代を象徴するような作品が生まれた。 全11曲の新曲は全編英詞で描かれ、ハードな楽曲からメロウなバラードまでINORANのソロ活動を濃縮した1枚となった。 ジャケットはINORANの愛器である1950年代のアコースティックギターが、2019年最新鋭のレーザーに放射された近未来的な写真だ。 リード曲「Starlight」はオルタナティブなミディアムバラード。イントロからアコースティックギターとINORANの歌声で静かな響きから始まり、 曲が進行するにつれて、愛する人を切実に想う一途な気持ちを歌う詩と声を、優しさと力強さに溢れたサウンドが包んでゆく、とてもダイナ ミックな楽曲に仕上がっている。INORAN本人も、ニューアルバム「2019」の中で、そして自身キャリアの中で重要な曲が完成したと明言し ている。8月からアルバムを引っ提げた約1年ぶりの全国ツアーを開催する。

INORAN Profile

1997年よりソロ活動を開始。
1stアルバム「想」では世界的アーティストDJ KRUSH とタッグを組み、当時まだ日本ではメジャーではなかったhip hop を取り入れた最先端の音楽を表現し、大きな注目を集めるソロ活動の口火を切った。
近年では、英国で絶大な人気を誇るギター・ロック・バンドFEEDER のベーシストTAKA HIROSEとの共作となったシングル「Hide and Seek」(2011年10月5日発売)でオリコン・ウィークリーチャート初登場10 位を記録。
また、洋楽ファンからも支持の高かったFAKE?のメンバーとしての活動や、香港ではGUN’S AND ROSESのオープニング・アクトを務めたり、LUNA SEA の河村隆一らと結成したTourbillonでは、日本武道館でデビューライブを飾る等、精力的な音楽活動を展開した。

2008年には映画「《a》symmetry」の音楽プロデュースや、日本最大級のファッションショー「KOBE COLLECTION」での楽曲提供及びモデル参加等、音楽の分野に留まらず活躍を果たした。海外に於いても特にアジア圏での人気は高く、2008年に台湾及び韓国で開催された大型ロック・フェスティバルへ出演、さらに台湾、香港での単独公演も成功させた。

2010年にフェンダー社とのエンドースメント契約を締結し、日本人ギタリスト初のシグネイチャー・ジャズマスターを発表した。
それから約2年の時を経て、2012年には第2弾のシグネイチャー・モデル“INORAN JAZZMASTER #2 LTD, Masterbuilt by Dennis Galunszka”が完成。
世界に向けて活動の幅を着実に拡げていった。

2012年、自身のソロ15 周年イヤーでは、9 枚目のソロ・アルバム「Dive youth, Sonik dive」にて全編英詞のバンドサウンドを展開、そのアルバムを携え初のWORLD TOUR(アジア及びヨーロッパ合計8 カ国公演)も行い、海外を視野に入れた本格的な活動をスタートさせた。
並行して、2012 年11月よりLUNA SEAの活動が再開。世界的にも大きな話題を集めた。

2013年には、ソロとしてはFAKE?の10周年記念ライブ(2/23@ 渋谷O-EAST) の出演、そして15 周年イヤーを締め括るZepp DiverCiry 公演(3/23)、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の出演、9 月の全国ツアー、FEEDERのTAKA等と結成した多国籍バンドMuddy Apesとしては2ndアルバム発売(7/3)、 「FUJI ROCK FESTIVAL」の出演、FAKE? との2マン東名阪ツアー、更にLUNA SEAはシングル2枚と13年5ヶ月ぶりのオリジナルアルバムの発売など 目まぐるしく駆け抜けた年となった。

2014年はLUNA SEA 25周年を記念して、久しぶりの全国ツアーを展開、5月29日代々木国立競技場第一体育館を皮切りに、全国ホールツアー、 そして2015年3月14日大阪城ホールにて、約1年に渡る長いツアーの幕を閉じた。

またINORANはテキーラ・マエストロの資格を持ち、ウルトラプレミアムテキーラ「PATRON」の『パトロン バレルセレクトINORANボトル』を これまで2度プロデュースし、さらには2017年7月20日にはメキシコ大使館にて「テキーラPR大使」を任命されるほどのテキーラ愛飲家という側面も持つ。

ソロ活動20周年を迎えたINORANは、2017年8月23日にセルフ・カヴァー・ベストアルバム「INTENSE/MELLOW」を発売。
「INTENSE」は“動”、「MELLOW」は“静”をコンセプトとし、これまでのアルバム群から、自身がセレクトした楽曲に新曲を加えた2枚組音源となった。
この作品を提げて同年、全国ツアーが13会場で開催された。
その最終日9月29日に開催された『SOLO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2017 -INTENSE / MELLOW-<B-DAY LIVE CODE929/2017>at SHINKIBA STUDIO COAST』の模様を収録したライブ映像と新曲入りCD「Override」を2018年8月22日に発売した。

LUNA SEAが活動30周年を迎えた2019年、8月7日にソロとしては約3年ぶりのオリジナルフルアルバム「2019」をリリースした。