古より、我々は海にロマンを求めた。どこまでもつづく水平線・・・
その先にきっとあるだろうまだ見ぬ土地に胸をときめかせ、冒険者たちは大海へと漕ぎだす。
アドベンチャラスな地中海へ、いざ出航だ。
航路の地図はいる
Photo: Satoshi Hamano
Text: Makiko Yamamoto
Croatia Dubrovnik
色彩の旧市街
きらめく水面を讃える透き通ったアドリアンブルーの海。ジリジリと肌を焦がす強烈な太陽光線。
MSCプレチオーサが最初に寄稿したのはクロアチアの世界遺産、ドブロブニク。
ヨーロッパ随一の観光名所でアドリア海の真珠の異名をもつこの土地は色に溢れていた。
碧い海と空に挟まれたオレンジ色の屋根、パッションピンクに咲き誇る地中海の花々、丁寧に干されたカラフルな洗濯物、深緑のオリーブツリー・・・生きとし生けるもの全てが生命力に満ちあふれそれぞれが輝きを放つのだ。
ここは地中海のパラダイス。
当時の面影がそのままに遺された旧市街を歩けば、タイムトラベルをしているような不思議な気持ちが君をつつむことだろう。教会の鐘が時を告げた。気がつけば出航の時間。
急いでタクシーを止め、港へ向う。「一秒でもながくこの街をみていたい」瞬きの瞬間さえ惜しんで、旅人は過ぎゆく車窓をじっと眺めた。
TURKEY ISTANBUL
感性を刺激する場所
空気が違う、匂いが違う、建物も装いも食べ物も街並も。
我々が冒険に求めるのは”新たな刺激”。
ヨーロッパとアジアの中継地点、イスタンブールは冒険野郎を魅了してやまない。
西と東がミックスしているから?
いや、そうではない。めくるめく歴史をもつイスタンブールはここにしかない文化や街並を遺し、オスマントルコ帝国の誇りが至る所に感じられる場所だ。
目に入るもの全てが新鮮で、時を忘れてここにいる意味を考えてしまう・・・
思想の樹海に迷い込む快感を味わえる土地、それこそがイスタンブールなのだ。
MSC PRECIOSA
きらびやかな非日常
イタリアの豪華客船『MSCプレチオーサ』。
船旅をより快適にカジュアルに楽しむことができる夢のクルーザーだ。
食欲をそそる新鮮な素材をふんだんに使った地中海料理や世界中の料理を楽しめるエレガントな雰囲気のレストランや24時間オープンしているインフォーマルレストランや船首からのダイナミックな景色を臨みながらトレーニングができるフィットネスセンター、食事もダンスも楽しめるパノラマ展望のディスコ、ルーフトッププールにジャズバー。
長期の船旅でも決して飽くことのないクルーズアクティビティの数々。
特筆はカジノ!
スーツをパリッと着込み、スワロフスキーの螺旋階段をのぼると、そこには豪華なカジノスペースが出現。まるで映画のワンシーンのようにきらびやかなヨーロッパのカジノをアドヴェンチャーしよう。ディーラーが優しく手ほどきをしてくれるから初心者にも安心。
チップを手に勝負をスタート。勝つか負けるか・・・ときには運に身をゆだねるのもまた是快感。
DJ at GALAXY LOUNGE
MSCプレチオーサのデッキ16、ギャラクシーラウンジでIFINITY16がプレイ。
フロアに集まったのはヨーロッパの老若男女。英語、日本語、イタリア語を織り交ぜたMCにキラーサウンド。彼を知るものは誰一人としていない中、彼は見事にフロアをロックオン。
やりきった彼の背中には、侍魂が燃えていた。
A DAY OF THE CRUISE LIFE
AM6:00。目覚めとともにキャビンのカーテンを開ける。目に飛び込んでくるのは朝焼けとどこまでもつづく凪状態の水平線。一切の波がなく鏡のようにフラットなその表面は至極神秘的でまだ夢の中のような気持ちにさせられる。
みとれることしばし。
昨夜の酒を抜くためにフィットネスセンターへで1時間ほどかるく汗を流したらプールサイドのバーでエスプレッソを一杯。
先ほどまで寝静まっていた船内は少しずつ活気を取り戻していた。
「今日は何をしようか」
その日することをその日に決める。
これぞ最高の贅沢。
スケジュール帳と時計と携帯に縛られていた日常から解き放たれ、陽の傾きと腹時計に従う。
プールサイドでサンタンしながら読書をしたり、カクテルグラスを傾けたり。
お腹が空いたらサンドイッチをつまむ。
サンセットを見届けたらキャピンへ戻りディナーの準備。
今日はスーツ着用のガラナイト。
ラウンジではシャンパンが振る舞われ、着飾った紳士淑女が手を取り合いチークダンスを楽しむ。
そんな華やかなヨーロッパ社交界を横目に、そっと会場を抜けだしデッキへ。
トワイライトと夜の狭間に一組のカップルが見つめ合い首に手を回していた。
絵に描いたようなロマンティックな瞬間。
ふと、愛するあの人を思い出した。
そんな航海中のとある一日。
夢とロマンに溢れる海のアドベンチャーが気がつかせてくれたのは、普段忘れかけていた大切な感情の在処だった。