今回のマドリード滞在で、あらためて驚かされたのが、この都市を取り囲むワインの存在感。
首都マドリードは、ガストロノミーや文化の中心地として語られることが多い一方、ワイン産地としての印象は決して強くない。しかし実際に足を運び、畑を見て、造り手の言葉に耳を傾け、グラスを重ねるにつれ、その認識は大きく覆された。
マドリード近郊には、小規模ながらも明確な哲学を持つワイナリーが点在し、声高に主張することなく、サステナブルで誠実なワイン造りが続けられている。大量生産とは無縁で、土地と向き合いブドウと対話する姿勢が味わいの隅々にまで反映されているのが印象的だった。
市場やレストランで供される料理と同様に、マドリードのワインもまた、日常の延長線上にありながら、驚くほど完成度が高い。そして何よりその多くが現地でしか出会えないという事実が、この土地を訪れる理由を強くする。
本稿では、マドリード・ワインの全体像とその特徴を概観しながら、今回訪問したワイナリーのひとつを通して、この地が秘めるワインの魅力を掘り下げていく。
Text, Photo: Makiko Yamamoto



















