La Lópezは、メルカド・デ・アントン・マルティンの一角にある、わずか数席の小さな店である。厨房に立つのはセルヒオ・マヨール(Sergio Mayor)。名門レストランViridianaで研鑽を積んだ料理人であり、この店ではほぼすべての料理を一人で組み立てている。
La Lópezを象徴する一皿、トマトのコンフィ・味噌(Tomate confitado en miso)。 完熟したトマトを低温でゆっくりと火入れし、水分を保ったまま甘味と旨味を凝縮させる。トマトの甘み、酸味、そして味噌のコク…シンプルな料理だからこそわかる、作り手の素晴らしさ。市場の中の店だからキッチンが小さく、そのため入念な仕込みが不可欠なのだそう。
La Lópezは、決して“実験的な店”ではない。 市場という日常の場に根差しながら、伝統、異文化、技術を静かに重ね合わせることで、現在のマドリードを映す料理を提示している。 メルカド・ガストロノミーの成熟を語るうえで、この店は欠かすことのできない存在といえよう。
Casa Dani
Casa Daniは、サラマンカ地区のMercado de La Pazに店を構える、マドリードの市場文化を象徴する一軒だ。華やかな演出や更新性を競う店が増えるなかで、ここは一貫して「完成された伝統」を提供し続けてきた。
この店を語るうえで欠かせないのが、トルティージャ・デ・パタタス(Tortilla de patatas)。Casa Daniのトルティージャは、数ある名店の中でも特別な評価を受けてきた。 厚みのある円盤状に焼き上げられ、外側はしっかりと形を保ちながら、中心部はとろりと柔らかい。