映画と人生に“ギアチェンジ”を。MEGUMIが語る「挑戦する勇気」
1300人が集まった第2回「ジャパンナイト」。その舞台裏には、映画への情熱と、国を超えたクリエイティブの可能性があった。
国際映画祭の現場で奮闘するプロデューサーMEGUMIが語る、映画を通じて世界とつながることの意味。そして、自信がなくても踏み出す勇気について。
人生の“ギア”を軽やかに切り替えながら突き進む彼女の言葉は、多くの人の背中をそっと押してくれる。
MAKIKO YAMAMOTO
Interview, Photo: Makiko Yamamoto
Photo: Rakuto Makino
Styling: Kumi Saito
Hair& Make-up: Megumi Kato
ADVENTURE KING (以下:AK)
第2回「JAPAN NIGHT」、大盛況でしたね。
MEGUMI:1300人もの方がいらっしゃったと聞いていて、正直びっくりしました。去年の第1回も大きな手応えがあったけど、今年はより「日本」というテーマに反応してくださる方が多かった印象です。日本って、本当に注目されているんだなって。
MEGUMI
第1回から丸1年。開催にこぎつけるまで、やっぱり大変でしたか?
MEGUMI:大変というより、「これは何のためにやるのか」という意義を一年かけて考えました。最初は勢いでやってみた部分もあったけど、終わった後にいろんな方から意見や感想をいただいて。これはもっとちゃんと考えないといけないなって。チーム作りや仕組み、理念まで含めて、すごく深く向き合った時間でした。
AK
今回はプレゼンテーションも盛り上がっていましたが、参加者の反応はいかがでしたか?
MEGUMI
すごく良かったです。皆さんそれぞれ目的を持って来ていて、たとえば「この作品のパートナーを探している」とか、「買い付けをしたい」とか。プレゼンのあとにいろんな出会いが生まれて、「これ決まりました」「一緒にやることになりました」っていう話もあって。まさに、それがジャパンナイトの最大の意義になっていると思います。
AK
こういう出会いの場があることで、日本と海外の合作も増えていきそうですね。
MEGUMI
合作は今、私も一番興味のあることです。資金面でも制作面でも、日本だけで完結させるのは難しいけれど、海外と組むことで可能性が広がる。しかも日本映画としてだけじゃなくて、フランスやイタリアの映画としても観てもらえる。それってすごく素敵なことだと思います。

AK
翌日のシンポジウムも充実していましたね。
MEGUMI
スゼル・ピエトリ(カブール国際映画祭ディレクター)さんやパスカル・ディオット(ヴェネチア国際映画祭プロダクションブリッジ代表)さんの話は本当に学びが深かったです。たとえば、ピエトリさんが好きな映画に黒澤明監督の『夢』を挙げていたのですが、その理由や評価されたポイントを聞いて「なるほど」と思うことばかりで。海外の目線で日本映画を語ってもらえるって、やっぱりすごく貴重ですよね。
AK
カンヌの直前に開催された、イタリアの「第27回 ウーディネ・ファーイースト映画祭」では審査員も務められましたが、やっぱり映画祭があることでリアルな出会いが生まれそうですね。
MEGUMI
間違いなく。映画って、人と人との関係性でできていると思うんです。Zoomとかではなく、リアルに会って話して、「一緒にやろうか」っていう空気が生まれる。そういうアナログな部分が、この世界の魅力だなって改めて思いました。

AK
現在はスペインとの合作も進行中とか?
MEGUMI
そうなんです。スペインでの自身の強烈な体験がきっかけで映画化を進めているところです。監督も決まっていて、スペインの制作会社も決まっています。文化の違いもあるので、脚本の修正や助成金の申請など、すり合わせしながら進めている感じです。
AK
MEGUMIさんがプロデュースされる作品はいつも「女性」をテーマにされていますよね。MEGUMIさんにとっての理想の女性像を教えてください。
MEGUMI
フランスの女性たちにはすごく憧れます。優雅で、でも野心的。ファッションもそぎ落とされているのにオシャレで。ああいう感じって、本当にセクシーだなって思います。
AK
MEGUMIさんご自身も年々さらに自身に満ち溢れて、綺麗になられていますよね。秘訣はあるのでしょうか。
MEGUMI
いや〜、本当に鬼のように美容してるから(笑)。朝イチでクリニック行ったり、もう「そこまでやる!?」っていうレベルで。でも、外見だけじゃなくて「役目がある」っていう感覚が自信にもつながっているのかなと思います。
AK
日本の女性たちに、今一番伝えたいことは?
MEGUMI
とにかくやってみてほしい。SNSで叩かれることもあるけど、それを気にしすぎずに、一歩踏み出してみる。見たことのない景色や人との出会いがきっとあるから。やらないより、やって失敗したほうが絶対いい。その経験は“筋肉”としてちゃんと残るって信じています。
AK
読者の中には、「踏み出したいけど怖い」という方も多いと思います。そんな方へメッセージをいただけますか?
MEGUMI
最初から強い人なんていないし、できないこともあって当たり前。でも、自分でギアをちょっと変えてみるだけで、世界はがらっと変わります。勇気を出して一歩踏み出したら、絶対「やってよかった」って思えるから。失敗してもそれが糧になるし、他人のSNSや雑誌の表面だけを見て「自分には無理」って思わなくていい。全てうまくいってそうに見えてもみんなそれぞれ大変なことをたくさん抱えています。だから安心して自分のペースでギアチェンジをしてみてほしいです。
それは旅でもいいし、映画を観るのでもいい。普段の場所からちょっと離れてみることで、全然違う世界が見えると思います。
映画をつくるように、自分の人生も編集していく。
MEGUMIのその姿は、多くの人の背中を押してくれる。
小さなギアチェンジの積み重ねが、やがて世界を変えるムーブメントにつながっていくのかもしれない。

MEGUMI
1981年9月25日生まれ、岡山県出身。2001年、芸能界デビュー。映画『巫女っちゃけん。』(17年)、『孤狼の血』(18年)、映画『台風家族』(19年)、ドラマ『おっさんずラブ-inthesky-』(19年)、ドラマ『偽装不倫』(19年)、映画『事故物件 恐い間取り』(20年)、NHK『伝説のお母さん』(20年)などに出演。08年7月、Dragon Ashの降谷建志と結婚したことを発表。09年2月、第1子を出産。20年2月、『第62回ブルーリボン賞』で助演女優賞を受賞。









