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Laurent-Perrier

Tales of Grand Siècle

シャンパンメゾン ローラン・ペリエ 時を超えて受け継がれる誇りと輝き
リード:シャンパーニュ地方には約370のメゾンが存在するが、その中で家族経営を貫く存在はごくわずか。1812年の創業以来、ローラン・ペリエは家族の手でその伝統と精神を守り続けてきた。前当主ベルナール・ドゥ・ノナンクールは、独立性と信念をもって、変わらぬ価値観をメゾンに根づかせた。シャンパーニュ地方のグラン・クリュの中心地に佇むローラン・ペリエ グラン シエクルの本拠地「シャトー・ド・ルヴォワ」でその真髄に触れる旅へ、いざ。

Makiko Yamamoto

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The Maison Château de Louvois

シャトー・ド・ルヴォワ 歴史と芸術が交差する、ローラン・ペリエの真髄

ローラン・ペリエが所有する50ヘクタールの広大なドメーヌは、メゾンの至高のプレステージ・キュヴェ「グラン シエクル」の本拠地だ。グラン・クリュの中心地、トゥール・シュル・マルヌの穏やかな風が吹く地に佇むシャトー・ド・ルヴォワは、17世紀に太陽王ルイ14世に仕えた名匠たちの手によって築かれた。ヴォーバン、マンサール、そしてル・ノートルといった巨匠たちが息吹を吹き込んだこの邸宅は、まるでヴェルサイユ宮殿の優雅な面影を映し出すかのように、噴水と池が織りなす壮麗なフレンチガーデン、華麗なオランジュリー(柑橘を栽培するための温室)、豊かな菜園を備えている。

シャンパーニュ伯の家臣で給仕長、さらにブルゴーニュ公の侍従長を務めたサン=ポル伯ゴーシェ3世・ド・シャティヨンから始まり、ルイ15世の娘であり、ルイ16世の叔母にあたるアデライード王女とヴィクトワール王女、通称「メダム・ド・フランス」が所有したこともあるシャトー・ド・ルヴォワ。1782年には、マリー・アントワネットもこのシャトーに滞在したが、フランス革命の最中にシャトーは没収され、国家の所有財産となった。

当シャトーをローラン・ペリエが取得したのは1989年のこと。この遺産の継承者として、メゾンはその保存に尽力しており、2015年にはシャトー、オランジュリー、庭園を歴史的建造物として登録。さらに近年では、マンサール設計によるオランジュリーの修復を行なった。 この修復は、シャンパーニュの丘陵・メゾン・カーヴを保護・振興する「ミッション・コトー、メゾン・エ・カーヴ・ド・シャンパーニュ」から、「ピエール・シュヴァル景観美化賞」を受賞するなど、高く評価されている。

シャトー・ド・ルヴォワは、17世紀というグラン シエクル(偉大な世紀)の華やかな精神と、シャンパーニュ界の真珠たるグラン シエクルの輝きを見事に結びつける、時空を超えた優雅なシンボルと言えよう。

The Savoir-Faire of Champagne making

静寂の中で醸される、精緻なる一滴

シャトー・ド・ルヴォワの地面の下には広大な地下空間が広がる。ローラン・ペリエ グラン シエクル専用のリザーヴワインセラーに眠る数えきれないほどのシャンパーニュたち。整然と並べられたステンレス製のタンクの前にさしかかったとき「ワインを起こしてしまわないように、気をつけて」と案内役のローラン・ペリエ グラン シエクル ブランドアンバサダー エドゥアール・コッシーが念を押す。

1970年代の終わり、ローラン・ペリエは数少ない先駆者としてステンレスタンクの導入を決断した。低温での一次発酵を厳密にコントロールすることで、ワインに鮮烈なフレッシュネスを宿し、複雑で繊細なアロマの世界を余すところなく引き出す。この革新的な技術は、メゾンの哲学である「フレッシュネス」「エレガンス」「ピュリティ」の真髄を体現する重要な要素。

シャンパーニュ地方の最上級のテロワール、革新的な醸造技術、そして受け継がれる美意識。ローラン・ペリエは、区画ごとの丁寧な醸造と精緻なブレンドにより、唯一無二のスタイルを築き上げてきたのだ。

Royal Warrant of His Majesty
The King of the United Kingdom

ロイヤルワラントが証す、気品と信頼の系譜

1998年、チャールズ皇太子(当時)より王室御用達の称号を授与されたローラン・ペリエは、2024年5月、チャールズ3世国王陛下の治世において新たな認定を受けた。これは、チャールズ国王の時代において初となるシャンパーニュ・メゾンへのロイヤルワラントである。その関係は、単なる形式を超えた深いつながりを物語っている。2011年、ウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤルウェディングの祝宴でも、チャールズ皇太子主催の晩餐会にてローラン・ペリエが振る舞われた。そして、国王自身も皇太子の時代から幾度となく、メゾンの精神が宿る地──シャトー・ド・ルヴォワを訪れている。ローラン・ペリエは、王室に選ばれることそのものを名誉とせず、その信頼に応える品格と、時代を越えて寄り添う姿勢で、その存在を証明し続けている。

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