弊誌でもたびたび訪れている、トルコ。人も土地も、同じ場所に行っても毎回異なる表情を見せてくれる不思議なデスティネーションだ。
旅の途中ふと思った。
トルコという国には、きっと喜びのタネがたくさん落ちていて、僕らはそれをちょっとずつ拾っているのかな、と。
幼い頃海岸で貝殻を集めたみたいに、ワクワク夢中になるような。
トルコはそんな魅力を放つ、でも少し懐かしさを感じる土地なんだ。
トルコで幸せを集める旅へ、さぁでかけよう。
Text: Makiko Yamamoto
Photo: Hiromichi Matono
Cooperation: Turkish Airlines
Wonderland for foodies
食の大国、トルコ
世界三大料理の一つ、トルコ料理。変化に富んだ気候風土のおかげで食材が豊富なうえ、歴史の中で東西の食文化を取り入れてきたため、その種類は実に膨大。バターやチーズなどの乳製品も豊富で、ヨーグルトも実はトルコが発祥の地だという。また、かつてオスマン帝国が地中海周辺を統治していたことから、オリーブオイルや魚、ナッツ、野菜、果物などを使った地中海料理も、トルコ料理のルーツの一つになっている。さまざまな伝統料理を融合させながら発展してきたトルコ料理は、東西の食文化の集大成そのものと言えるだろう。そして道端で売っているケバブやザクロジュースにもトライしよう。トルコ産ザクロは高級ザクロとして知られており、日本産やカリフォルニア産と比べると酸味が少なく、美味しさが際立つ。新鮮な野菜に香り立つ小麦…それらを組み合わせたトルコ料理…食べても食べても飽き足らない、まさに味覚の王者といえよう。
Short Trip to Çanakkale
その昔、トルコの軍事要衝だった都市、チャナッカレ。トロイの木馬で知られるこの土地では、古き良き時代の足跡を至るところでみることができる。港町ならではの素朴で人なつこい土地柄と爽やかな空、ゆったりとした町並みが印象的だった。
Turkish Wedding
皆で躍りつづける陽気なウェディング
トルコの結婚式はいくつかの段階を経て執り行われる。
まずは、結婚式の前夜に開かれる、女性だけの前夜祭クナ・ゲジェス。花嫁に赤い布をかぶせて、花嫁を送り出す歌を歌いながら、ろうそくとクナ(ヘナ)という染料をもって、花嫁の回りをまわり、その後、染料を花嫁や来賓者の手につけて、赤く染め上げるのだ。花嫁の手のひらにコイン、その上にクナをのせ、ラップを巻き10分ほど放置する。すると、手のひらに赤くコインに跡が浮かび上がり、花嫁がお金に困らず幸せになるように祈りを捧げるのだ。
結婚式当日は、日本の披露宴と考えればよい。ドレスアップして会場に集まり、軽食をしながら談笑。
唯一違うのは、生バンドと歌手がいるということだ。宴開始から一時間ほどたったとき、彼らが用意された意味が分かった。
エキゾティックなトルコのリズムに合わせて、会場の皆が踊り始めたのだ。踊りはとまることなく、4時間は続いただろうか。新郎新婦も、もちろん我々もすっかり汗だく。ときに手をつなぎ輪になったり、ときにダンスバトルのごとく自分の踊りを披露し合ったり。こんなに笑顔が溢れる結婚式は実に初体験。
平和を愛するトルコの国柄が映し出されているような気がした。