INTERVIEW

Yohay Wakabayashi ROCOCO

「大切な人たちと特別な時間を過ごす」 
”ラグジュアリー”の本質を伝える冒険野郎

photo, text: Makiko Yamamoto

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クオリティライフ(中身を重んじる上質な生活)という言葉を聞くようになって久しいが、特にコロナ禍によるロックダウンは我々に”本当に大切なものは何か”を如実に示したのではないだろうか。

扱いきれないほどたくさんの高級品を所持するよりも、上質なものを少し、大切な人と共有することこそ幸せ……本質はそこにあるのだろう。

ADVENTURE KING 10周年パーティーでも大好評だったROCOCOビールを通して、新たなラグジュアリーの価値観を伝導する冒険野郎、若林洋平氏に「人生と冒険」について問うてみた。

自ら大海に飛び込んだ少年時代

――若林さんの冒険の始まりはいつだったのでしょうか。

若林氏(以下、若林):
「世界経済をリードしているアメリカで世界のトップクラスの教育を受け、グローバルな場で競い合える人間になりたい」
そう思って、13歳のときに一人でアメリカに留学をしたことが始まりです。
中学1年生からアメリカのジュニアボーディングスクールへ入学しました。
英語があまり出来なかったので、最初は「海に放り投げられて、頑張って自分で泳げるようになりなさい」みたいな感じでしたね(笑)。
留学生活を通して色々な国籍、考え方、人種、宗教の人々がいて、それぞれが強み・弱みを持っていることを肌で学び、適応力も鍛えられたと思います。

スポーツなども含め、強みや好きなことにどんどん打ち込める恵まれた環境を与えてもらえました。
中学のモットーが「You can if you will」(強い志があれば、なんでも達成出来る)で、挑戦する姿勢や意志の大切さを学び、それ以降、これが私にとって、人生におけるモットーでもあります。

――いつまで留学されたんですか。
若林:
マーケティングの修士を取得した大学院までなので、計11年間留学をさせてもらいました。
高校ではスカッシュというマイナースポーツに出会い、見事にハマりましたね。
夢中で沢山練習をして、高校3年生にはチームNo.1、大学でもプレー出来るレベルまで上達しました。その後も続け、大学ではチームが全米3位までになることができました。
ここで、「頑張ればしっかりと結果がついてくる」ことを体感として学びました。

その後、日本に帰国、外資系消費財メーカーへ就職しましたが、「自分にとって一生このままサラリーマンで終わるのは、なんてつまらない人生なんだろう」と、自分にプレッシャーを与えていました。

――サラリーマンのまま終わるのはつまらないですか?
若林:
この言い方は日本のサラリーマンの方々は違和感を感じるかと思いますが、アメリカでは、サラリーマンは修行の場、その後独立するという考えが一般的なんです。ですから私も自然と独立志向になっていったということです。

サラリーマンをしながら、ビジネスチャンスを常に考えていました。
海外生活が長い私の強みは、海外からの目線と日本の良さの両方をわかっているということだと自覚しています。
日本の高級な料理店でビールを頼むと、日本の大手メーカーの商品しか置いていないのが現状で、その商品は全てコンビニでも手に入るビールなんです。
そこで、「日本初のラグジュアリービールを作れば、日本のファインダニング市場に付加価値を提供できる」そう確信して、アメリカでのビジネススクールからの友人であり、ビジネスパートナーでもあるアメリカ人のジェレル、カナダ人のキースとともにROCOCOをスタートしました。

――ROCOCOにはそういう経緯があったのですね! まったく違う畑のビジネスをすることに躊躇いはなかったのでしょうか。
若林:
アイデアに対しての確信はありましたが、弊社は信用も経験も飲食業界とのコネクションも一切ありませんでした。
したがって、唯一の開拓方法としては、プライドを捨て、自転車に乗って、暑い日も寒い日も、雨の日も、3人で汗だくで毎日飛び込み営業をすることでした。その当時は周りの友人達にもなかなか理解してもらえず、恥ずかしい経験も沢山しました。しかし、普通は無茶だと思われることも頑張ってこれたのは、3人の力があってこそだと思っています。そして、幸いなことに一部のシェフやソムリエの方達は私たちの話を親身に聞いてくれました。

――まるでADVENTURE KING創刊初期の話を聞いているようです。私も雑誌を大量に抱えて、まずは渋谷から、一軒一軒訪ねて歩きました。その中で話を聞いてくれる方がいると本当に嬉しいですよね。
若林:
「地道にやれば結果はついてくる」そう信じてやるしかなかったですね。その甲斐あって、少しずつ導入店舗も増え、飲食店や世の中から少しづつROCOCOを認めていただけるようになりました。
2020年にはテレビ取材も入り、ANAファーストクラスラウンジへの導入も決まっていて、内心「今年は最高にイケイケだな」って満面の笑みだったんです。
そこにコロナが襲いかかりました。

――誰も予想できなかった、まさに未曾有の事態でしたね。
若林:
世界的なロックダウンにより、お取引先の飲食店が次々と休業、ロックダウンが解除されても、アルコール厳禁という政府の方針で ROCOCOの流通はほぼ2年間止まってしまったんです。
弊社だけでなく、飲食業界全体に暗雲が立ち込めた絶望的な状況でしたが、逆に言えば、環境が最悪なので今まで以上に頑張る必要があるし、新しいビジネスモデルを作るチャンスだと考えたんです。

――転んでもただでは起きない精神、私も共感します。
若林:
今までのビジネスモデルを転換し、飲食店のみへの販売から、オンラインストアに切り替え、レストラン売上が落ちた分をオンラインで補うことにしたんです。
ただ、オンラインで誰でも購入できるようになると、「限定店舗でしか味わえないROCOCO」というコンセプトに共感していただいたからこそ、取り扱いをしてくれている飲食店の方々に面目が立たない。
そこで、ROCOCO JOURNALを作り、オンラインストアの購入者に対して飲食店を紹介するようにシフトすることで、飲食店に対して新たな付加価値をつけることにしました。

――綺麗に作られていますね。一連の経験を通して実感する、人生において大切なことを教えてください。
若林:
誠実でいる、この一言に尽きますね。
創業者、経営者でいると毎日多くの決断をする必要があります。
何が最適な決断なのか、私達も普通の人間ですので、わからない時も多々あります。
終わってみないと最適な決断だったかどうかは分かりませんが、常に自分の心の声を聞いて「誠実な決断」をしています。
人への配慮や優しさを基準に決断しようと心がけているんです。
そうすれば、その決断がビジネス的に間違いだとしても後悔はしないと思います。
そのポリシーがあれば、その結果、何があっても自分のしていることを誇らしく思えるのではないかと考えています。

――まるで自分と会話しているようです。ADVENTURE KINGを運営するにあたっても、人に対する誠実さを基準に方針を決めています。最後に今後の目標、夢をお聞かせください。
若林:
私にとって、「大切な人たちと、特別な時間を過ごす」というのが、“真のラグジュアリー”体験だと考えております。
その思いは厳しいコロナ禍の現状だからこそなおさら強く感じております。
自分の家族、友人、ビジネスパートナー、弊社を応援してくださっている方々などとROCOCOを通してその機会を作っていくことがまず一つ。
そして、私の夢は日本がROCOCOを通じて、新しい飲料カテゴリー「ラグジュアリービール」のグローバルリーダーとして認識されることです。その活動によって、日本に貢献して行きたい。
日本の食文化は世界No.1だと確信しております。
ROCOCOを通じてその素晴らしさが世界中に伝わっていくのが私の夢です。
また自分の活動を通して、日本にも起業する人たちが増えて行き、これからの日本をもっと良くしたいと考える若者が増えていけばいいなと思っています。
そのインスピレーションを与えられる存在になる、それこそが私の幸せです。

若林氏の著書。(ROCOCO Tokyo WHITE取扱店のGINZA BENIにて)

インタビュー当日も自転車で現れた若林氏。
優しい人当たりながら、ROCOCOに込める想いを語り始めると一気にその瞳が情熱を帯びるのが印象的だった。これからの活躍も楽しみな冒険野郎だ。

日本初のラグジュアリービール
「特別な瞬間に寄り添う」ために生まれたROCOCO Tokyo WHITEは、シルクのように優しくなめらかな味わいがお料理の味を引き立てるビールとして、料理人やソムリエの皆様から熱いご支持を受け、発売からわずか1年で100を超える星付きの飲食店でご愛顧いただいております。

厳選された最高品質の原料と富士山の伏流水のみを使用し、繊細なお料理との相性を追求して開発された究極のレシピは、これまでのビールの概念を覆すことでしょう。

ROCOCO Tokyo WHITEのフルーティーで華やかな香りを逃さず楽しむことのできる白ワイングラスで、ゆっくりとご堪能ください。

Profile:Yohay Wakabayashi

若林洋平

メゾン・ロココ株式会社 代表取締役社長。1987年、東京都生まれ。中学から大学院までの11年間アメリカへ留学。ニューヨーク州にあるロチェスター大学(マーケティング修士)卒業後、日本へ帰国。外資系消費財メーカーにて複数カテゴリーのブランド・マネジメントに従事。世界で最もミシュラン星付きレストランが多く、ファインダイニングのリーダーである東京で、2017年日本初のラグジュアリービール『ROCOCO Tokyo WHITE』を立ち上げ、代表を務める。

撮影協力:GINZA BENI

閑静な銀座に佇む会員制の鮨屋「GINZA BENI」。

アーティストでもある大将の溝部博氏が生み出す”食の芸術”を心ゆくまで堪能したい。

※ROCOCO Tokyo WHITE取扱店。

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