INTERVIEW

-Yosuke Kubozuka-

海内無双の冒険野郎

Photo: Taro Washio
Interview, text: Makiko Yamamoto
Location: BEYOND BB

Q映画「沈黙‐サイレンス‐」公開おめでとうございます。公開後すぐに観に行ったけれど本当に素晴らしかったです。

Aありがとう!! 俺も感無量です。

Q私の両親は長崎出身なんだけど、出演者の方々の長崎弁が完璧だって驚いてた(笑)。

A長崎弁のレクチャーの人がいてくれたからね。でもほんとにみんなが喜んで自分の最大限以上の力を発揮しようとしている現場だったから、それがすごくいて気持ちよかったし、ハリウッドチームと日本人のキャストスタッフと台湾人のキャストスタッフと、キャストといっても台湾人はエキストラだけど。日本からもエキストラさんだけで100人とか呼ばれてて。それで1週間撮影なんで、1週間宿代飯代出してあげたり。そこだけ見たってスケールが全然違う。マーティン・スコセッシは非常に日本に敬意を払ってくれていて、原作者・遠藤周作さんにはもちろん、原作にも、日本のスタッフやキャスト、ひいては日本全体にすごい敬意を持って撮ってくれてたなっていうのはカットごとに感じてたから。それだけで俺たちは嬉しくなって、喜んで自分の時間や力を捧げた。だから撮影そのものが神がかってたよ。霧が出て欲しいところで霧が出たりね。

Q今回演じたキチジローをどう思う?

Aまぁみんなというか、遠藤周作さんもそうだけど、弱くて醜くてずるくて汚いような捉え方をして、一言で言えば弱き者という言い方をされる役だけど、俺は裏返しで「キチジローは実は強いんじゃないかな」って思うことがある。実際自分で役をやると、彼の人生を追体験するみたいなところもあるんだ。だからこそ改めてそう思ったなというのもある。
撮影を通して彼の人生を生きてみて、感じたのは、彼って俺よりももっと思慮深くないし、いろんなことを考えているというタイプではないけど、だからこそ理屈じゃなくて素直に自分の心に従う。彼のその“自分の心に従う”ということの強さ…弱いからそうしてしまったという見方もあるけどね。
当時は踏み絵を踏むことを“転ぶ”と表現しているけれど、俺はそれを「すごい上手い言い方をしてるな」と思っていて。キチジローは“転んでは起き上がる”ということをずっと続けた奴だからね。彼自身もどこか“踏み絵を踏むことには慣れていた”という感じ。別に“踏み絵を踏んでも自分自身が変わっていなければ、何も変わらないんだ”ってことを体感として知ってしまっていたというか。それはある意味では強さなんじゃないかなと思う。

Q私は学生時代に原作も読んでいて、当時読んだときは「キチジローって信用ならないな」と思ったの。自分の身を守るために平気でキリスト様を踏む姿に信念を感じられなかった。でもあの映画をみたときにその認識が180度変わった。実はこの作品中で一番ピュアな人って、キチジローなんじゃないかなって。例えば宗教ってキリスト教に限らず「シンボリズム」じゃない? 神様って形のないものだからみんなに分かりやすいような形(聖像)に落とし込んで、それを崇拝することで意識を統制していく。でもほんとは神様って一人ひとりの心の中にあって、自身の拠り所であるべきで、自分が弱いときは弱くていいんだよね。転ぶこともあってもいいって。何度転んでもキチジローは常に信仰に戻り、神に寄り添っていく。彼が一番人間らしくて、宗教の本質を無意識に知っているというか、“心で神の意識を感じられる人”なんじゃないかなと思ったんだよね

A俺もそう思う。「沈黙‐サイレンス‐」というタイトルは、“やはり神は沈黙している”ということを絶妙に表現している。あの映画が何をやっているかというと、一番分かりやすい言い方でいうと「キリスト教に風穴を開けてしまった映画だ」と俺は思うんだよね。要は「神は教会にいない」ってことね。「神はそれぞれの体という教会の中にいる」ということを伝えてしまっている映画だと思うから、そういう意味ではとんでもない作品なんだよね。

聖書って世界で一番読まれている本でしょ、世界のベストセラーが宗教本であるということは、俺らが生きているこの世界…言い方を変えればキリスト教圏とも言われるけれど、この世界にとって「沈黙‐サイレンス‐」は非常に異端な作品だよね。

それなのになぜ世界中で「沈黙‐サイレンス‐」を公開することが出来たかっていうと、実は原作に唯一描かれていないシーンが映画の中にあって、観てくれたから覚えてると思うけど最後のシーン、埋葬前に甕棺に入れられたロドリゴがクロスを持っているということ。あのカットをパスポートにして、マーティン・スコセッシはさっきのメッセージとともに「沈黙‐サイレンス‐」を世界にぶち込んだんだよ。

そしてその映画の中で俺はキチジローを演じられて…卍LINEの音楽活動を通して考えると、今まで自分自身が伝えてきたメッセージをこういう形で体現できたというか。もちろん時代も役も何もかもが違うけど、本当に意味のある作品に出ることができた。

実はマーティン・スコセッシが企画・監督した映画は、この世に3作しかなくて「タクシードライバー」「レイジングブル」「沈黙‐サイレンス‐」なんだ。だからもしあの方がいつか亡くなった時に、DVDが出ることになって3本選ぶとなったら、「沈黙‐サイレンス‐」を含むこの3本になるだろうと言われていて…という視点で鑑みても彼の作品に参加できたということは、ほんとにありがたいことだけど、それがなんと「世界を根底から覆すような作品」ということが、本当に嬉しいし光栄です。

Q本当に!マーティン・スコセッシ監督の作品は昔から好きでほぼ全て観ているのだけど、どれもメッセージ性が強いよね。でも「沈黙‐サイレンス‐」は特にそれを強く感じた。ところで、洋介さん自身は宗教ってある?

A俺はいわゆる日本人なら御多分に漏れずという感じの…薄口の仏教徒。でもなんだかんだお墓参りをしたり、法事とかがあるとお寺に行っていたわけだから、そういう意味では仏教徒。

日本は宗教の呪縛的なものが他の国に比べたら少ないと思うんだよね。そう考えると日本人にとって「沈黙‐サイレンス‐」が伝えている「みんなの中に神様はいる」というものを捉えやすい。

さらに言うと、神社つまり神道は「八百万の神」だから。これも神様、あれも神様…空気や物さえも全部神様っていう考え方じゃん。だからそういう意味では「自分の中に神がいる」ということを理解する土壌はちゃんと耕されているわけで。今(2月15日)、「沈黙‐サイレンス‐」の動員は50万人超で、これからどれくらいまで行くのか分からないけれど、皆が足を運んでくれている理由は、今話したようなこともあるんだと思う。

Qそうだね、無意識ながらも日本人にはそういう考えが染み付いているよね。世界中色んな宗教があって、みんな何かしらに影響を受けているよね。
 私はもともとクリスチャンで育って、小さい頃から私にはクリスチャンの考え方以外なかった。お祈りが当たり前だと思っていて、お祈りをすれば救われると思っていたの。でも、ある日どうしても叶えたい願いが出てきたときに、いつもに増して熱心にお祈りをしても、全然叶わなくて…そのとき、ふと「神様なんていないんじゃないか」って考えが頭をよぎって、それでお祈りをぱったりやめたのね。そこから1~2年経ったときに気がついたのが、いつも心を暖かくしてくれていた“何か”、今考えると“心の拠り所”がなくなって空虚感が胸を支配しているのを感じたんだ。その時に気がついたのが「神様は道徳の規範であって、拠り所なんだって。私にとって神様とはそういうもんなんだな」って。
 いろんな国に行って教会や寺院を訪れるのが好きなんだけど、どれもすごく飾りにお金を遣っていて、なんだか「お金をいっぱい寄付すれば何か善いことがある」っていう風潮を時折感じるの。神様は決して拝金主義じゃないと思うのに、宗教自体は拝金や象徴主義っていうものに傾倒し、それって宗教を盾にした支配体制なんじゃないかと思うんだよね。どう思う?

A宗教って為政者が民を管理する最大で最強の武器だったと思う。けど、じゃぁただの為政者の為の道具だったのかっていうとそうじゃなくて、ちゃんとその宗教が救ってきた人々もいるし、彼らの心の拠り所にもなっていたはず。

俺は、信仰と宗教って違うと思っていて、信仰心って自分の心の中から湧いてくる自然な思い。例えば「ありがたいな」と思って自然と手を合わせていることだったりとか、仲間と見た朝日の神々しさだったりとか、一人で苦しんでいたあと、それが晴れていく時の神々しさだったりとか、晴れ渡る気持ちだったりとか、その時吹き抜ける風だったりとか…そういうことが信仰心の原点というか。よく言うけど原始宗教の最初の形ってやっぱり太陽信仰で、ひいては太陽の恵みで育つものに感謝するんだけど、その根源である「太陽を信仰する」というのは原始時代に最初に現れた心だと言われている。

もっと言っちゃうと、太陽信仰が後に色んな宗教に形を変えていったんだよね。例えばキリスト教ってミトラ教(古代ローマで隆盛した、太陽神ミトラスを主神とする密儀宗教)と類似点が多いとかさ。聖書にある「キリストが死んで3日後に復活する」というのは、“冬至の太陽”の話なんだよね。冬至に太陽が一番力を弱めていて、3日間同じところに太陽が沈んで、その後復活していく。反対に太陽のパワーが一番ある時が夏至なんだよ。そこを太陽は行ったり来たりしてるの。

自分の家から毎朝昇る日の出や日没の位置を1年間観察してたら半端じゃなく動いていることに気がつくよ。

話を戻すと、死後3日目に復活する…それは22日が冬至で25日がクリスマス、キリストが生まれた日でしょ。それは太陽のことなんだよ。

キリスト教は色んな宗教の良いところを集めたんだよ。キリストの死後、それが支配の為に使われてきたことは否定出来ない。でもさ、仏教にもあるよね、「悪い事したら地獄行くよとか」さ。六道(人間が善悪の業因によって行きめぐる六つの世界。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天道)っていうのがあるじゃん。それは救いでもあるし、牢屋でもあるって俺はそう思ってる。本当は自分の中に神がいて、自分と神とが対話できていれば、つまりそれぞれが天とつながっていることが当たり前になれば、宗教は必要ないと思う。

そういうのは正直思う。俺はそういうつもりで生きているし、それを卍LINEという音楽を通して歌ってきたつもりだし。全部の曲のリリックの根底にそういう考え方があって、「心にリリックが深く入れば入るほど、運命がより良い方向に変わる」ということを本当に信じ抜いてるし。そういう歌っていっぱいあると思うけど、卍LINE自身がそういうものとして存在してるから。

Q全く同感。いつも洋介さんと対話していて、その造詣の深さに尊敬の念が湧くんだけれど、どうやってそういうことに気が付くに至ったの?

A今日の取材の前に本屋に行ったんだけど、グラハム・ハンコックっていう人が、20年ぶりに本を出版してて、「うわ~」と思って。小学校高学年くらいの時に、なんか異様に本屋で気になった本があって、それが彼の著書「神々の指紋」という本で、ジャケ買いした本なんだ。それから20年経って、今日見つけたのが「神々の魔術」で、彼の考え方は宇宙考古学っていう興味深いものなんだけどね、例えばエジプトのピラミッドが実は何万年前に出来ていたとか、ピラミッドの配置や、アンコールワットの配置など、それらは全て星を模写しているとか、もっと古代には遥かに進んだ文明があったとか…。

俺は当時そういうことを知って、その時点で「世の中が教えている歴史って、本当のことじゃないのかもな」って思い始めた。俺は小さい頃からこの地球もそうだし、宇宙の本当の姿を見たいとずっと思ってきた。そして宇宙は自分自身の中にあるっていうのは薄々直感していたというか…だから全部が正しくて、全部が間違ってる。今回のサイレンスの出演者もそうだと思うんだけど、全員正しくて全員間違ってる。それを見て自分がどう思うか。そこにしか答えはない。

だからよくインタビューで「沈黙ってタイトルですけど、神は沈黙してるけどどうですか」って聞かれてたんだけど、おれは神は沈黙してくれてよかったと思う。沈黙していて欲しいし。自分で“それ”を見つけるべきだと思うし。

俺らファミコン世代でさ、当時のゲームには攻略本みたいなのがあったじゃん。あれの「人生版の攻略本」みたいなのがあればいいのにと思ってて。実際それを自分の中で編纂してるんだ。今もそうだけど何度も何度も修正して加筆して…さ。

色んな角度で物事を見ていたいと思うんだよね。コップだって下から見たら丸いけど、横から見たら長方形だし、斜めから見たら円柱に見えたりとかさ。例えばキリスト教をひとつとっても、民衆の目線で見たり、為政者の目線で見たり…宗教の捉え方も、「国を支配していく道具」と見たり、「人を救うもの」として見たり、「魂を入れる監獄」として見てみたり。

あらゆるものを色々な角度から見て、自分なりに出てきた答えを今歌ってる。それが自分の攻略本だし、俺はかなり良い精度でそれを作りあげてこれてるなって思うし、いつも「今が一番良い」と思ってる。無理やりそうやって思おうとしてるんじゃなくて、本当にあのとき怪我をして、本当の世界に落っこちたというよりも、むしろ“飛び込んだ”って感じ。そこからちゃんと自分の人生が始まって、そのあと卍LINEが現れてさ。

今すごい他人事みたいに話してるけど、客観的に見て、俺の人生に起こったことは全て必然で、それによって常に今が一番良い世界に生きられてる。きっかけは、体験はもちろん、歌や本、“誰か”だったりとか、あらゆる事象だね。

Q飛び込む前と後ではやっぱり変わった?

A変わったと思う。今は、よりハッキリ分かるというか。

Q世界の捉え方が変わったとか?

Aそれはあんまり変わらないかな。自分自身が変わったというか、その衝撃で、頭で分かっていたことが肚に落ちたというか。だからもうそういう風に生きるしかなくなったというか。頭ではこういう世界があるとか、そういう世界に行きたいなとか思ってたけど、もうそういう次元じゃなくて、いよいよ肚に落とさないと道がなくなっていたという感じだと思うんだよね。自伝書くなら構成的にあれが「最初のページ」だし(笑)。

Qじゃぁ人生の選択に迷いはないのかな?

Aまぁ、でも「どっちがいいかな」「どっちがワクワクするかな」って考えるのも楽しいよね。でも大抵のことは問答無用というか、一目瞭然に直感が作用するようになってきてる。

仕事のオファーを受けるか否かに関しても、頭を使っているというよりは、直感だから。やるやらないをはっきりしとく。

今回のハリウッドは7 年前からオーディションを受けて獲得したんだけど、経験して思ったのは、ここで勝負したいな、ここで活かしてもらいたいなって。もう一度夢見させてくれてる。LAプレミアでレッドカーペットを歩かせてもらって、その気持ちがさらに強くなって最近英語の勉強を始めたんだ。高校受験ぶりに勉強してる。自分の中に入ってる英語の知識を確認しながらね。「半年くらいアメリカ行っちゃえば喋れる」って言われるんだけど、現状今は卍LINEもあるしそれが許される状況じゃないから、今自分ができる最善を尽くして、6枚目のアルバムの制作の合間に勉強してるという感じ。

6thアルバムは27曲あるんだけど、9曲ずつ3枚のアルバムに分けて、今年の5月に発売しようと思ってる。3枚組じゃなくて毎週連続で発売する。DVD版も入れると4枚。一ヶ月通して一枚ずつ発売するという誰もやったことのないことをやってみようかなと思っていて。

Q面白いね。5月は洋介さんのバースデーもあるしメモリアルだね。

Aわりとコンビが多くて、コンビアルバムになってるんだけど、今やっているのはミュージックビデオの制作とか、そのことばっかり。

あとは今年新しく個人事務所を設立して、よりフルパワーでnext stageに行けるようにそれの準備とかもやってる。

Qワクワクすることばかりで未来が楽しみだね。

A準備の段階でnext stageをすでに楽しんでるけど、これが整ったらもっともっと力を出していけるし楽しみ。夜は映画を観たりもするけどね。

Q最近いいなと思った映画は?

Aいろいろあったけど、最近のだと「スノーデン」。CIAを裏切って世界に情報を暴露した実話の映画。あれめちゃくちゃ熱いよ。「沈黙‐サイレンス‐」と「スノーデン」は世界を変える映画だと思う。アメリカ自体が俺らの携帯を全部盗聴している事実とか、そういうことは知ってはいたけど、改めて映画としてよく出来ていて、オリーバーストーン監督はさすがだなと思ったし。熱くなれるところと、泣けるところもあって。

Qあの主人公、スノーデンも今もどこかに亡命してるんだよね。

Aロシアにいてプーチンが「永遠に受け渡しをしない」って言ってたんだけど、アメリカが「彼は国家的なスパイだから裁く必要があるから返せ」って要求しつづけて今は受け渡しに関しての話があるみたい。

Qプーチンって日本ではあまり好ましく思われていないようだけど、TVに流れていない彼のスピーチを海外のニュースで観ていると、正論だなって思う。今世間はトランプでもちきりで、果たしてこれから世界はどうなるんだろう。

A俺の考えでは、今回の選挙はただアメリカを分断したかっただけだと思うよ。でももっと後ろにいる奴らは国なんて関係ないから。アメリカがどうとかそんな次元で物事見てないから。トランプでもヒラリーでもどっちでも良かった奴らがいるんだよね。だから、決まった方でいいよみたいな。それこそ今回の「沈黙‐サイレンス‐」にも関わってくるような話ね。

Q宗教はそもそも国関係ないもんね。

A今は国より世界企業の方が強くて、その上に宗教があったりとかして。俺らをある意味マインドコントロールするために、ああいう茶番劇みたいなものを見せて。うまいことアメリカを世界から分断したんじゃないの。選挙のときもトランプを応援するやつしないやつ両方いたと思うけど、メディアはヒラリーが持ってたから、トランプの悪口ばかりを流したことによって、トランプのことを悪く言うやつが増えたけど、実際支持してるやつもいっぱいいて。だから選挙も勝ったわけじゃん。

でも、俺はそんなこと想定内だと思うんだよ。奴らのスケールはそんなので左右されるようなもんじゃないから。俺らが騒げば騒ぐほど奴らの思う壺。だから俺、言わなくなったの。もう関係ないからさ。

ブルーハーツの歌詞に「どうにもならないことなんて、どうにでもなっていいこと」ってあるんだけど、俺の解釈では、神の一手みたいな天変地異とかも含め、自分の生きるべき世界を生きる、生きたい世界を生きるということが一番世界を変える力になるのかな。俺は、トランプだのヒラリーだのそんな小さいことで、ピーピー言ってる世界に生きてないから、「もうその世界を生きちゃおう」と思って言わなくなった。そうやって空騒ぎするくらいだったら、自分の音楽を通して自分が感じてることをメッセージして、その世界をシェアして、その世界に呼んで、みんなに“自分自身を信じよう”というメッセーがどんどん広がった方が、100万倍パワー出てると思うから。自分の、そして君の神様を信じる、それに尽きるね。

Qそうだよね。信じたいし、信念は実現するためにあるんだと思う。私たちが生きている間に政治やお金よりも魂強い人が勝ったっていうのをみたいなっていうのはあるけどね。

Aうん、でもそうなるだろうね。じゃなかったら地球が許さないと思うよ。でも、そういうのを人間は何回も繰り返してきてるのかなって気もするけど。マヤ暦でいったら5回目の世界。やっぱり文明がドン詰まると天変地異とかが起こるし、地球って人の心と連動してると思うんだ。

例えばこのインタビューが始まった時から、俺が鬱屈して愚痴ばかり言っていたら、それが記事になって出た瞬間にもっと多くの人にその負のバイブスをシェアするわけじゃん。そうなったら地球もよくない方にに反応すると思うから。

Q目には見えないけれど、すごく響き合うと思う。

Aそれを感じられる時代によりなってきたと思う。20年前にこんなこと言ってたら「頭おかしい」とかいろんなこと言われたけど、今なんて宇宙人の話をしてても別に普通じゃん。いるか否かはそれぞれ議論して楽しめばいいと思うけど。時代が絶対に変わったから、あとは自分自身をより研ぎ澄ますというか、自分自身の人生をより楽しむ。「自分自身がADVENTURE KINGになる」というふうにしていかないと、ある意味で色んな篩いにかけられてる部分もあるから。

反論するわけじゃないけど、すごい強欲でいいと思うんだよね。愛も欲しいし、豊かさも、安らぎも、金も、友達も欲しい。それでいいんだよ。望めば望むだけ入ってくるんだから。本当は。望んじゃいけないとか、節制とかいう言葉があって、それを美徳とした時代もあったしそれはそれでよかったけど、本来、神が俺たちに与えているこの世界というのは、もっと愛に溢れて、豊かで、安らぎのある世界。それを俺らが目隠しされている。

自分発信、自分中心でいい。「世界の中心にいるのはバチカンでもないし、トランプでもないし自分なんだ」って。それをみんなが信じて願えばそうなるし、そっちの方がはるかに素晴らしい世界になると思ってる。それは他の人を尊重しないことじゃなく、自分のことを尊重出来るから、誰であっても尊重出来るようになるんだもん。

それこそ「沈黙‐サイレンス‐」の時代に比べたら、今は100万倍幸せな時代だと思うから、ちゃんと感謝していきたい。さんざん文句も言ってきたけど、そうやって再認識する必要があるなっていうのをすごく実感して、今のこのマインドになったんだよね。


 

Profile:窪塚洋介 1979年5月7日生まれ。横須賀市出身

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