ー音楽は呼吸みたいなもの。

 その中に夢と情熱を見いだせている限りずっと続けていきたいんですー

90年代に巻き起こったヴィジュアル系バンドの代表格LUNA SEA。サウンドではもちろん独特のファッションやヘアスタイルで当時の若者の心を鷲掴みにし、トップチャートを席巻した伝説のバンドだ。

今回のインタビューを敢行したのは、LUNA SEAのギタリストであり、来年ソロ活動20周年という節目を迎えるINORAN(イノラン)。45歳、FORZA世代ながらの当時と変わらない若々しい体型を維持し、音楽活動に情熱を傾けるINORANに、学ぶことはきっと多いはずだ。INORANが人生の冒険において大切にしていることとはいかに。

 

makiko: 私ごとながら、中学生の頃からファンでした!LUNA SEAでデビューされてからソロ活動を経て、現在変化したことはありますか。

INORAN: 1992年にデビューしてから今まで、ものすごくたくさんの経験をしてきて、それによって随分成長してますね。30代の時は世の中を知った風になってて、知った顔で色々語っちゃってた時期もあったし(笑)でもそうじゃなくて、さらに広い世界があるだなって感じてるんです。変化しつつ転がりながらようやく今に来てる感じ。大人になったのかな。

makiko: 来年はソロ活動20周年ですよね。アルバム「Thank you」を聴かせて頂きました。とっても素敵なタイトル!それにしても20年とは、一言では言えない重みのある時間です。

INORAN: そうですね。気が付けば20年経ちますね。節目であり、今作は記念のアルバムですけど、まぁ流れに身を任せて。ここまでやってきた。今まで11枚のアルバムを作ることが出来たし、だから「もうすぐ20周年だからこうしなきゃ!」という気負いはそんなになかった。今までの流れを継承する感じですね。タイトルに関しては、作る前から「このタイトルいいな」って思ってて、それは自然な感情というか今の僕の気持ちかな。自分でもいいタイトルだと思いますね(笑)。

makiko: INORANさんが大事にしている「仕事の流儀」やスタイルはありますか。

INORAN: 僕の場合、音楽という仕事をしているから特殊かもしれない。でもやっぱり夢と情熱を持って生きていく」っていうことですね。その中に仕事が含まれて存在しているわけです。自分の生活スタイルとか、生き甲斐だったりとか、それを忘れない人間であった方がいいんじゃないかなって思う。僕がこの活動で出会った人の中で、成功してる人や充実感が顔に出てる人は「夢と情熱」を必ず持っていましたね。

makiko: いまのINORANさんの夢とは何ですか。

INORAN: いまのぼくの夢は、「たくさんの人に僕の作った音楽を聴いて欲しい」ということです。自分が作った曲が聴いてくれる人の隣に寄り添っていて欲しいというか。あとは「ずーっと音楽と生きていきたい」ってこと。幸せな事に僕は今のところ、ずっと好きな事をして生きてこられているんです。

好きを仕事にすると、当然、嫌いな事、やりたくない事、苦手な事があるけど、それを比べたときに好きの方が勝ってるかな。嫌いが勝ったら辞めちゃうと思います。

makiko: 音楽に対する生みの苦しみとか、曲が出てこなくて辛いみたいなことはないのでしょうか。

INORAN: 出てこないということはほぼないです。僕にとって音楽って呼吸みたいなもんで、趣味と同時に仕事だし、仕事と同時に趣味みたいなもの。支えてくれてる人がいる、支えるものがある。そういう方々に対して責任があるし、作れないとか言ってる場合じゃない。

makiko: ではストレスを感じたり壁にぶち当たったりとかはそんなにないですか。

INORAN: ないですね。というか自分では感じてないのかな。ほんとに凄く色んな事に恵まれているので、周囲に感謝の気持ちを返していきたいと思っています。

makiko: 好きな事が仕事になるって、人として生まれてきて最高な事だと思うんですよね。

INORAN: そうですね。ただ20代のときとかは、やっぱり夢と情熱が仕事の量よりも上回ってて、色々考えることもありましたよね。「何かをやるには何かを失う」って必ずあると思うんだけど、それもあったしさ。でもそこはがむしゃらにチャレンジし続けたんです。仕事でストレスを感じることはありません。だって好きなことですから。

makiko: 一つ一つの言葉に重みを感じます。ADVENTURE KINGは人生の冒険をテーマにしているんですが、やりたいことがあってもなかなか人生を賭けるって勇気がいりますよね。そんなときINORANさんはどうされているんでしょうか。

INORAN: なんだろうな。例えば考えすぎて頭がフリーズしてしまったら、一回寝て起きてフラットにしてみるとか。あとはいろんな意見をまず聞いてみるってことかな。身近なものや人、それは友達でも家族でも雑誌でもいいし、それらの意見に耳を傾けると意外に結構勇気は出てくるものだと思う。ネガティブな事を言われちゃうかもしれないけど、それも意見の一つ。周囲の人って自分を反映してくれる、鏡のようなものだと思うんです。ADVENTURE KINGの表紙に出てきた紀里谷さんいるでしょ、彼、ほんと素敵な兄貴だと思っているんです。僕もほんと紀里谷さんと出会って考え方とか、言葉では言えないけど変わった部分も大きいし。だから読書のみんなも、今答えが出ないからって焦らないでいいと思う。

千代の富士の名言なんですけど、「今日練習しても明日勝てるわけじゃない、3年後くらいにその結果は出る」っていうのがある。当然のことかもしれなけど、素晴らしい言葉だなっておもうんだよね。真っ直ぐ、自分に嘘をつかないで生きていく。それはやりたい放題じゃなくて、「生きていく」という事を日々重ねていくということ。それによって周りに誰がいて自分がどういう事をしたいと分かってくるんじゃないかな。何年後かにその積み重ねの成果が出るもんだと思うんだよね。

makiko: INORANさんは音楽の道に進まれる時に不安とかはなかったんですか。

INORAN: 1年にプロデビューしたんですよ。その時は超不安でしたね。これでプロ大丈夫?みたいな。そのくらい何も考えてなかったというか夢中だったかな。

makiko: 今行ってみたい国はありますか。

INORAN: 行ったことないところは行きたいですね。この間ジャカルタも初めて行ったんですけど、やっぱりその土地に行かないと知らない事っていっぱいあるんですよね。他にもまだまだ行ったことない国も200とか300とかあるわけじゃないですか。だからこそ行ってみたいですね。その分だけ嬉しい事も気づく事もあるだろうし、そうすると逆に日本が好きになるし。日本全国でも行った事ないとこあるから、行ってみたいですね。ちなみにこれを作ったり、今作もアメリカで作ったんですけど、なんか本来の自分になれたような感覚で東京にいるのとは違う。感情をだしやすいというか。

makiko: だから英語で歌われていたんですね。アメリカのどちらに行かれたんですか。

INORAN: ハワイですね。2週間くらいで10曲作ってきました。アルバム制作のタイミングと旅に出たいって欲求のタイミングが合うんですよね、いつも。日本に疲れたら自分探しの旅に出たくなるからちょうどいいです。

makiko: 年に一度くらいは海外に息抜きに?

INORAN: そうですね。前はメキシコでパトロンっていうテキーラの自分のボトルを出してて、メキシコに行ったりとか。

makiko: 結構お酒も飲まれるんですね。

INORAN: パトロンやってるんで(笑)。

makiko: 最後にINORANさんがこれから挑戦したい冒険を教えてください。

INORAN: 冒険って、きづいていない自分に会うためにするんだと思うんですよ、心の奥底で眠っているまだ見ぬ自分にね。僕は人に会ってその人たちのフィルターを通して、まだ見ぬ自分を発見出来るって思っているんです。だから時間があったら僕は人と出会うために旅をすると思う。生きているうちに出来るだけいろんな人に会いたい、それも大きな夢の一つですね。

 

日本の音楽シーンを一世風靡した90年代から変わらず音楽への情熱を燃やし続けるINORAN。ただ違うのは彼の肩の力が抜け、大人の貫禄と余裕を身にまといさらにパワーアップしていたということ。インタビュー中に感じた悠然たるオーラは今後の活躍を予感させた。

photo:Maciej Kucia(AVGVST) interview & text: Makiko Yamamoto

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Profile: イノラン ーINORAN 11 Album 「Thank You」ー

来年にはソロ活動20周年を迎えるINORAN自身11枚目のオリジナルアルバム、その名も「Thank You」。この作品にINORANが込めた想いを、そのシンプルなアルバム・タイトルから感じることができる。11作という長き道程を経て、今だから想える、あらゆる事に対しての感謝の気持ち。その想いを曲に込めて・・・。INORANからの感謝ミュージックが今夏からリリース。