JESSE and The BONEZを経て、2013年The BONEZとして新たに活動をスタートしたJESSE。

彼との対話は人生の本質を探っていく作業に思えた。正真正銘の冒険野郎、JESSEが考える人生の冒険とは。

 

―新アルバム「Beginning」お聴きしました。エネルギーあふれるサウンドがCOOLですよね。

今回のアルバムのコンセプトは元RIZEのギタリストNAKAがThe BONEZに入って初めての作品ということで新しい始まりにふさわしい1枚というイメージかな。「13」というのがThe BONEZのテーマとなる数字なんだけど、タロットカードでは13番目の死神という意味で。Deathのカードって終わりであり、また新しい始まりという意味を持っていて、その始まりにふさわしく、みんなが新しいことにチャレンジしてる。コーラスをみんな頑張ってくれたり。僕もそう。RIZEが来年20周年でずっとラップをやり続けてきたんだけど、今までのラップ聴き直したら自分のラップに何かが足らない気がずっとしてて・・・それってちゃんと歌を勉強してなかったことだと思って。今回歌を歌ったのはラップに必要な最後のなにか鍵じゃないかなと。なんか来年20周年になるようなバンドをやりつつも、The BONEZにおいては新しいビギニング。今まで19年間も出せてなかったことが出せるような始まりを感じてるようなミニアルバムだね。

―なるほど。バンド名The BONEZにも、すごくインパクトを感じました。

The BONEZは実は9年前からやってて、もともとはボーナー(boner)って勃起っていう意味なの(笑)。RIZEは常にポジティブで太陽みたいなイメージ。逆にP.T.P(TheBONEZのT$UYO$HI、ZAXのバンド)は月のように、痛いものや切ない気持ちがあってもいいんだよって、そういう痛みを受け入れるようなバンド。その二つのエッセンスが入って、どっちにせよすごく真剣すぎて勃起するぐらいのアホで単純な気持ちというか。その衝動とか勃起ってハートからくることなんだよね。馬鹿げていてもそういうものって「なんかいいな」と思っていたいという気持ちで。

―それって大人でいながら少年の心を持つ感じ。

そう、でも難しいんですよね。どうしても作り込んでいっちゃいがちだから。例えばアドキンでも最初の号と今とを比べると今はすごくちゃんとなっているとは思うんだけど、1号目のやりたかったという初期段階の想像にはきっと勝てないと思うし。それはみんな職人肌の人たちは痛感するところがあるんじゃないかな。

―確かに。まとまっていっちゃう、ってありますね。

まとまる度に失敗していっているのかもしれない。いっぱい色んなものに失敗して「ここをああしたいこうしたい」とまとまっていっちゃうということは、まとめっているというところだから。けど、10ページ中1ページくらいはまとまっていないページがあってもいいと思うんだよね。なんか全部がまとまってないとダメだし、でも全部がまとまっていたらつまんないし。雑誌で言うとその1ページかも知れないし、アルバムで言う1曲なのかも知れないけれど、ところどころはアホでいいんじゃないかなと。

―それはなんでしょう。やったことないことにチャレンジするページを入れるとか、曲を入れるとか。

それもだし、みんな得意じゃないことはやらなくなるけど、やれることはずっとやり通続けるでしょ。やったことがないことをやるというより、終わってない宿題をやり通す感じかな。意外と学校を卒業すると宿題とか提出しなくていいから、自分の中での課題、自分の中での宿題、その誰にも頼まれていないものを終わらせるのは自分次第で。終わってるのに終わってないように感じちゃうこともあるし、終わってないのにやることないなと思っちゃうこともあるし。だけど、新しいことをそこまでチャレンジしなくても、みんなそこで壁にぶち当たって、新しいことや、やったことないことをすべきだと焦っちゃう。その前にやり残したことをちゃんとやれば、必然的にやったことないことにチャレンジできるチケットをもらえるんじゃないかな。

2
―そうかもしれないですね。何か違和感を感じたまま残しているもの、ありますね。

俺は歌がそう。小学生のとき親父に「音痴だな」って言われたことがあって、それがショックで歌なんか一生歌わねぇと思って、それでラップやり始めたんだけど。こんなにずっとミュージシャンやってきて、歌をそこまで分かってないままやってきた分、今やれることがいっぱいあるなって。新しいことじゃなくて今までちょっと無視してきたこと。

―今回は歌を勉強しなおしたんですか。

そうではなくて、向き合い方を変えた。今まではなんとなくタララララ♪ってギターのフレーズだったら、弦をおさえる指を確認しながらキーの変化を覚える感じ。そうやって歌おうとすると正確なキーに当てやすいなとかね。今の時代はキーを調整したりって後から加工できるけど、それを一切やらずにチャレンジしたっていうのも変わったところ。今までは1曲2時間くらいでレコーディングが終わってたのが12時間くらいかけたり。そうやって、今まで”やれた”んだけど”やらなかったこと”をやっていった。

 

―音楽職人の域ですね。匠を感じます。

まぁみんな職人を目指さないとね。例えば昔、うちのじぃちゃん日産で生涯務めた人なんだけど、ずっとある1台のMなんとかっていう2ドアのスポーツカーみたいなののビルダーをやっていて。ずっとそれしか作ってなかった。じぃちゃんは自分でもその車を持っていて、もう何十年も経っているんだけど、新品同様なくらい完璧に手入れをしていて。そんなじぃちゃんを見ながら「もし他の車になったら出来ないのかな」とか、「でも1台直せたらどんな車も直せるようになるんだろうな」って思ったりしてた。別に車なおせたところでどうなんだよって思うかもしれないけど、一つ何かすごく手に職をもっていることってすごい自信になると思う。今の子たちは安定性とか高収入とかで職を選んでいる感じがする。「小さい頃に出会ったお医者さんにすごい感動して、自分も人を救えるような仕事になりたい」っていうような”エピソード”がないまま職業を選択している感じで。そういうやり方って1、2年で結果は出るだろうし、早い結果を求める人にとっては良いかもしれないけど、俺が言ってる話は仕事って10年やり続けたらものすごく自分の糧となるものだから、9年間は悪夢かもしれないけど、10年目、俺のやり方をやれば数十年自信をもてるようなものが手に入っていると思うから。俺自身でも、35歳にして「Beginning」というタイトルつけると思わなかったからね(笑)。

―冒険というのもそういうような連続だし、人生の冒険ってそういうことですよね。

冒険は大事ですね。俺は旅が大好きで、子どもが生まれるまでずっと旅ばっかりしてた。旅のヒントって、休めるとこで休んで寝て、到着した時に思いっきりウォーって初めて見るものを吸収出来るように、疲れていたらどれだけ良いところにいても何も感じられないし。だから、休めるところで休んで、いざという時にはちゃんと目見開いて見ないともったいないって思う。それは冒険もそうで、「冒険=アグレシッブだらけ」って考えがちだけど、「冒険=どれだけ自分の時間を使えるか」だと思うし。うちのお袋に言われたのが「あ~時間ねぇ」って俺はいつも言うの、そしたら母ちゃんが「JESSE、タイムは消えないから、タイムだけはいくらでもあるんだよ。自分がどう使うかだから」って。確かにタイムだけならタダでそこら中にある、けれど時間をなくしてるのは自分だってことに気がついた。

―考え方次第っていう。

そう。例えば、1年を1年と捉えるか、13年を1年と捉えるかでも全然違う。13年を1年と捉えたら、すげーいっぱい失敗できんじゃん。4年目で失敗しても、なるほどねって。「上京してもう4年」って思うのと「まだ4年? 13年を1年とすると3月くらいじゃん」って考えるのと全然違う。”10年一芸”だからね。10年やってダメなら変えたほうがいいと思うけど。

―そう考えると冒険しない手はないというか。

そう、人生1回なんでね。

―これからJESSEさんがやってみたい冒険とか、挑戦とか。

10年後何やってたら「うわ、カッケーJESSE!」って自分で思えるかって考えた時に、音楽やり続けても周りは当たり前だときっと思うと思う。そう考えた時にギターのシェイパーになりたいなと思って。自分でいい木材探して今からやったら、形ぐらいはきっと来年ぐらいには作れると思うけど、本当に職人技出せるのは10年くらいかかるとして、俺今年35だから45才位になった時には良い腕になれてるかもなと思って。ギターのネックとかピックアップとかそういうものは作らないで、ボディーのギターだけをシェイプして後はそれに自分の好きなネック付けてもらったりとか。だから生涯ギターのボディーを作るシェイパーになりたいな。それをするにはいい木があるところを見に行きたいし、色んな人のシェイパーのシェイプしてるとこ見てみたいし。

自分が作るとしたらサーフボードみたいに一見全部一緒なんだけど、薄さやアークが違うとか。自分がシェイプしたボディーを作ったらそれにペイントして、それを絵として売ったりとかしてね。

―JESSEさんはその旅・冒険・人生の先に何が見えてますか。なにがあると思いますか。

凄いありきたりだけど、Happinessかな、喜び。なんか冒険は金にならないから欲ではないと思うんだよね。なんだけど冒険というのは、例えば遊園地で言うとジェットコースターは冒険ではないけど、迷路は冒険だと思う。

3
―自分の足で。

そうそう、そして自分で選ぶ。Y字の道があったとして、最初は右か左かしか選べないじゃん。でも上級者になっていくと道がないとこを歩くなるようになるんだよね。「俺はこの真ん中歩くぜ」とか、「道はずれてみるぜ」とかさ、そこで喜びがあると思うんだよね。

「平日は仕事をして土日楽しければいい」とか、「我慢してこの夜1杯のビールが楽しい」とかに喜びを感じるのが一般的じゃん。そういう仕事をしているんだったら職を変えたほうがいい。そういう感覚は直さなきゃいけない。どんだけ大変な仕事をしてるときも、ワクワクして楽しい思い出になる。そういう職を選ばないとね。みんなには天職があるんだからそれを探さないといけないと思う。やりたい仕事とやれる仕事は別だから。けれどもやりたい事を練習すればやれることになるし。だったらやりたいことに携われるほうを選んだほうがいいと思う。やっぱね、砂漠での絶対水が出ないであろう場所から一滴だしてやるくらい本気で絞り出す気持ちじゃないと。冒険はそれができるじゃん。自分がやりたいことだから、そこに喜びがあるから。

 

JESSE (ミュージシャン)

1980年生まれ 東京都出身

The BONEZ

RIZEのJESSEのを中心に、Pay money To my PainのT$UYO$HI、ZAX、そしてNAKAと共に結成。
2013年、アナログテープを用いた渾身のアルバム『Astronaut』をリリース、国内外の大型フェス に多数出演し圧倒的なライブ力を披露。
2015年、楽曲『Place of Fire』がNISSAN X-TRAILのCMソングに大抜擢。同楽曲が収録されたミニアルバム『Beginning』をリリースし、4月より全国ツアーを開始する。
現在もっとも注目を集めている話題バンドだ。